
原作を先取りした神改変!『アンデッドアンラック』アンディが序盤からジェントルマンに (C)PIXTA
2023年秋アニメ『アンデッドアンラック』では、「週刊少年ジャンプ」連載の人気原作マンガを高いクオリティで映像化することに成功している。しかしその一方、原作に改変が加えられている部分も。主人公の1人・アンディのキャラクター描写にちょっとした違いが生じているのだ。
【関連】五条悟の復活フラグふたたび!『呪術廻戦』239話“超人”髙羽史彦がカギとなる可能性 ほか
紳士的な振る舞いが増えたアニメ版のアンディ
原作改変の内容を一言で説明するなら、「原作よりも早くジェントルマンになった」とでも表現すべきだろう。そもそも同作は、触れた者に災いを与える「不運」(アンラック)の能力をもつ少女・出雲風子が、不死(アンデッド)の体をもつアンディに出会い、数奇な運命を共にしていくストーリーだ。
そして序盤では、この世に絶望してネガティブな言動を繰り返す風子を、破天荒なアンディがリードしていくことによって物語が進んでいく。アニメでもそうした流れ自体は一切変わっていない。ただ、アンディのさりげないやさしさが描かれているように見える。
たとえば第1話冒頭、風子が橋から身を乗り出し、下の線路に走っている電車に飛び込もうとするシーン。原作ではアンディと風子がともに橋の欄干の外側に立っており、その後“不運”によってアンディだけが線路に落ちるところが描かれていた。
しかしアニメのアンディは、風子に触れるため欄干の外側に行くところまでは同じだが、その後風子を安全な場所に移動させ、さりげなく身投げを防いでいる。このアニメ独自の描写によって、アンディが風子に興味本位で近づいただけの人物ではなく、やさしさを秘めていたことが分かるようになった。
原作にはないアンディのやさしさを示すシーンは、他にもいくつか盛り込まれている。同じく第1話、風子がビルの屋上からすべって転落する場面では、アンディが風子のもっていたマンガ「君に伝われ」を拾うシーンが登場。
また風子の散髪を終えた場面では、まるで少女マンガのロマンチックな一幕のように、アンディが風子の後ろからそっと手を回し、上着を羽織らせてあげるシーンが追加されていた。
2話目以降でも好感度が爆上げ
アニメ第1話のラストシーンも印象的だ。原作では、頬にキスをして隕石が降ってきたことを受けて、アンディがさらなる不運を味わうために風子を“抱く”意欲を見せる。それを聞いた風子はたちまち逃げ出し、アンディがそれを全力で追いかける…という場面だった。
アニメでも同じように、追いかけっこが行われるのだが、アンディは風子に追いついても捕まえたり抱き着いたりする素振りを見せず、そのまま追い抜いていく。元々ハラスメントまがいの接触を行うつもりはなく、からかっていただけ…という事情がよく分かる描き方だ。
さらに第2話以降も、アンディの紳士的な振る舞いは続く。とくに、ヤケを起こして脱衣した風子に服を着直させるシーンは大きなインパクトがあった。
原作では服をどう着せたか分からないように描かれていたが、アニメではアンディが風子の背後にまわり、服を着せる補完が行われており、より紳士的な雰囲気を醸し出している。
序盤は粗暴粗雑な印象が強かったアンディだが、アニメでは随所にやさしさを感じさせる描写が挟まれており、視聴者が共感しやすく、好感度が上がりやすいようになっている模様。第1話からスタートダッシュを決められたのも、こうした改変がファン獲得につながった結果かもしれない。
文=野木
【画像】
ufabizphoto / PIXTA