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中国のゲームメーカー・miHoYoによる新作オンラインゲーム『原神』が、世界中で驚異的な大ヒットを記録している。しかし一部では『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(以下、BotW)の“パクリ”疑惑が浮上し、賛否両論を呼んでいるようだ。
同作は今年9月に日本国内でリリースされたオープンワールドRPG。PS4/PC/iOS/Androidに対応したクロスプラットフォームの作品で、基本プレイは無料となっている。総開発費は100億円以上と言われており、3年4カ月もの歳月をかけて制作された超大作だ。
同ゲームはモバイルアプリとしてリリース4日目で1700万ダウンロードを叩き出し、約2週間で売り上げ100億円を達成。10月21日には12の国と地域でApp Storeゲームカテゴリーのセールスランキング1位を獲得し、商業的に大きな成功を収めることとなった。
しかし世界を熱狂の渦に巻き込む一方、ゲームファンからは批判の声も上がっている。それが『BotW』の模倣をめぐる論争だ。『原神』はキャラクターデザインこそ“萌えキャラ”風になっているものの、キャラクターのモーションやマップの探索要素、モンスターの造形などさまざまな点で『BotW』との類似を指摘されている。
オマージュの域を超えていると判断する人もいるようで、ネット上では「原神、開始1分でゼルダのパクリってことを実感できた」「スマホで原神ちょっとだけ遊んだけど、BotWのパクリって感想しか出てこない…」「原神は本当にゼルダに似すぎていて、謎解きクリアするたびに脳内でゼルダのBGMが流れてくる」などと苦言を呈されていた。
模倣作が現れるのはリスペクトの証?
『BotW』は国産ゲームが苦戦していた時代、12年振りに世界的なゲーム賞『Game of the Year』を勝ち取ったことで有名。日本のユーザーにとって特別な思い入れのある、「国産ゲーム復活の狼煙」とも呼べる作品だ。だからこそ、海外メーカーによる類似作品に激しい反発が起こっているのかもしれない。
とはいえ『原神』も美麗なグラフィックやロンドン・フィルハーモニー管弦楽団による楽曲など、随所にこだわりが見られることは確か。作品のオリジナリティを認めるファンからは、「原神を結構遊んで分かったけど、BotWとソシャゲを見事に融合してる。パクリって言いたい気持ちは分かるけど、あそこまで行ったら正直別物」「ストーリーやキャラはもちろん、戦闘スタイルや育成に関しても棲み分けが十分できてる」「ものすごくBotWに影響を受けてるけど、独自の個性を取り入れて面白くなってるからいいと思う」など、好意的な反応も多く上がっている。
ちなみに今年7月には「Steam」上でオープンワールドゲーム『クラフトピア』の早期アクセスが始まり、同じように『BotW』からの影響を指摘されていた。『BotW』は世界中のゲーム開発者にリスペクトされているからこそ、次々と類似作品を生んでしまうのだろう。今後は国産ゲームから、『BotW』の後継となるような意欲作が登場することを期待したい。
文=大上賢一
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