『天気の子』も批判の的に… フィクションのキャラを「許せない」と思う人々

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マンガや映画、小説など世界にはさまざまなフィクションが存在するが、物語の受け止め方は人それぞれ。中には登場人物の行為を「許せない」と感じる人もいるようで、ネット上で大きな議論を呼んでいる。

発端となったのは、今年10月にTwitter上に投稿されたとある意見だ。投稿者はフィクションの登場人物が非常識だったり、反社会的だった場合の風当たりが強くなっていることを指摘。キャラクターに対して「許せない」と感じる感情が、そのまま作品の評価につながっているケースが増えたと主張していた。

そこで挙げられていた作品例は、2019年に大ヒットを記録したアニメ映画『天気の子』。同作は思春期の少年少女を中心としたストーリーで、作中では「拳銃」をめぐるエピソードや主人公・帆高が社会に対して独自のスタンスを示すシーンが登場する。

作中で帆高のとった行動は、公開当時から一部で物議を醸していた様子。現在でもSNSなどでは、《天気の子観たけど、反社会的な行動を多々描写していて好きにはなれないなぁ…》《拳銃振り回したり反社会的な行動が多すぎて、あまり子どもには見せたくない作品》《反社会的な行動された後に感動シーンを流されても、『でもこの子常識ない犯罪者予備軍じゃん…』って冷めてしまう》と批判する声が目立つ。

その一方、作品を擁護する人からは《反社会的行動とか言い出したら、昔の映画なんてどうなっちゃうの》《エゴのための行動でも、所詮は物語だし、個人が1人の人間を助けることの何がいけないのか》《反社会的なフィクションが許されないなら『名探偵コナン』などもアウトになってしまう。法を犯してでも成し遂げたい何かを描くのが創作の醍醐味では》といった意見も上がっている。

作品に「マジレス」が飛び交う時代?

近年では『天気の子』にかぎらず、反社会的な人物を主人公とした作品が数多く生まれている。たとえば2019年に公開された大ヒット映画『ジョーカー』は、アメコミの『バットマン』でお馴染みの悪役・ジョーカーを主人公とした作品。コメディアンを夢見るアーサーという人物が“悪のカリスマ”となる過程を描いており、作中には多数の反社会的な行為が登場する。

また国内外で高い評価を得ている是枝裕和監督の『万引き家族』は、「万引き」によって生活を送る特殊な家庭を描いた作品。現代社会の構造に鋭く切り込んだ意欲作だが、一部からは「犯罪を賛美する最低のコンセプト。何が犯罪で繋がる家族だ」「ダイジェストを見ただけで最低の映画に見える」「最低の映画だと思います。万引き行為により今までどれだけの店舗被害があり倒産したと思いますか?」といった声が上がっていた。

作中で反社会的な行為を描写するのと、反社会的な行為を肯定するのは別のこと。現代は、フィクションに対する距離感が問われる時代となっているのかもしれない。

文=大上賢一

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