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多くの男性にとって、女性の“おっぱい”は永遠の憧れ。マンガやドラマなど、さまざまな創作物において重要な役割を果たしてきた。しかし、その描き方によっては一部の人々を激怒させてしまうことも。12月4日から『dTV』で配信が始まったドラマ『快感インストール』に対しても「女性蔑視」だという意見が続出し、大炎上の様相を呈している。
「快感インストール」は、『Kis-My-Ft2』の北山宏光原案によるドラマ。主演は同じく「Kis-My-Ft2」の二階堂高嗣が務めている。あらすじとしては、未経験男子・タカが女性の“おっぱい”を触ることによって、その女性の快感を自分にインストールできる…という特殊能力に目覚める話。作中ではタカが親友・カズマと共に、特殊能力の発動条件を模索する様が描かれていく。
問題になっているのは、「偶然胸を触ってしまう=ラッキースケベ」を面白おかしく描いている点や、胸を触るために奮闘するという点。SNS上では主に女性たちから反発が噴出し、《キスマイにはもっとジェンダーについて学んでほしいという想いを込めて》とのコメント付きで、「#快感インストールの配信中止を求めます」というハッシュタグが作られる事態に。
他にも、《女性の身体への加害についての認識不足という点で看過できないものがあるのではという懸念を強く抱いております》《冗談抜きにこんなの日本の恥です》《加害行動を求愛行動のように見せる方法は認知の歪みを増長させて危険だと思う》《主人公が「合意なく胸を触るために画策する」というのは痴漢と同じ》といった意見が上がっていた。
ところが一方では、《ドラマでは不倫や殺人も出てくるし、フィクションなんだからいいじゃん》《テレビで放送されているわけじゃないし、有料配信なんだから嫌なら見なきゃいいだけでしょ》《キスマイにだって表現の自由はある》《観るな、関わるな、絡むな。学べという考え方がフェミテロと同じ》などと“表現の自由”を訴える声も。賛否両論が入り混じり、ネット内では大きな話題となっている。
大人気ドラマ『半沢直樹』の続編も炎上した!?
SNS上で「女性差別」を批判する人々にとっては、対象がフィクションであるかどうかはほとんど関係ないらしい。今年7月から1クールで放送された『半沢直樹』(TBS系)の続編も、実は“プチ炎上”していた。ここで噛みつかれたのは、半沢を取り巻く女性陣の姿勢。《いまだに内助の功の上戸彩とか、飲み屋で気持ちよくさせてくれる井川遥とか、古臭い女性像はゴリゴリのままで、それだけでなんかもう、今の時代にやる意味ある?と思ってしまうね》《専業主婦や飲食業に従事する女性をキャリア女性より下の存在と考えている時点で、あらゆる差別や偏見をなくしていこうっていう今の時代に合ってない》《ある意味、女性活躍なんてまだまだ遅れている日本の現状を描いているんだろうな》などと、厳しい批判の声が上がっている。
しかし、「半沢直樹」続編の原作『ロスジェネの逆襲』が発行されたのは2012年で、作品の舞台設定は2004年頃とされている。女性についての描写は、当時の社会水準を想定しているのかもしれない。そもそも「ロスジェネの逆襲」はエンタメ小説であり、ノンフィクションではないので、「フィクションを現実と混同すべきでない」と反論することもできそうだ。
社会正義のために、自身の考えを発信するのは素晴らしいこと。しかしフィクションに対して厳しいモラルを適用するのは、必ずしも正しいとは言えない。創作物の質を低下させないため、ある程度の“スルースキル”を身に付けることも重要ではないだろうか?
文=川崎かほ
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