『鬼滅の刃』スピード完結もこれが原因!? 『呪術廻戦』『サムライ8』…マンガも「SNS映え」を気にする時代

Webメディアに連載されるマンガは、SNS上で拡散されやすいもの。そもそもメディア自体が「いいね」ボタンなどを設置し、1話ごとに読者からの評価をフィードバックする仕組みとなっていることが多い。そして読者の評価は作品の人気をあらわす数値として、連載が続くかどうかの判断に用いられる。Webマンガの作家は、毎回フックのある展開を用意できるように苦心していることだろう。

またSNSの話題性を重視する流れは、Webマンガ業界だけにとどまらない。最近では『週刊少年ジャンプ』の作品も、その傾向にあるように見える。たとえば『呪術廻戦』や『チェンソーマン』といった近年のヒット作は、巧みなストーリーテリングによって読者に衝撃を与えており、Twitterにおける“トレンド入り”の常連。また今年3月に完結した『サムライ8 八丸伝』も、毎週のように最新話の内容が注目を集めていた。

もちろん読者が盛り上がるのは、マンガとして成功している証。しかし登場人物が途中で退場するような、インパクトの強い展開を多く取り入れることで、長期連載を続けにくいという一面もあるかもしれない。実際、Webマンガ畑で頭角を現した藤本タツキの「チェンソーマン」は、人気作にも関わらず100話未満という短さで本誌連載が終了している。

言わずと知れた大ヒットマンガ『鬼滅の刃』もまた、この法則に当てはまるだろう。TVアニメ化によって人気が爆発し、さらに物語が広がっていくかと思われたタイミングで、読者が驚くほどのスピード感で完結を迎えていた。コミックスの巻数は、全23巻だ。

少年マンガの連載期間に関しては、これまで「徐々に長大化している」という見方が強かった。人気が出た作品は次から次に新たなエピソードが追加され、そうそう連載は終わらない。実際に「週刊少年ジャンプ」の看板作品『ONE PIECE』は、現在97巻まで刊行されている。

しかしWebマンガと紙マンガの境目がなくなったことで、時代は巻き戻りつつあるのかもしれない。1990年代に連載された『幽☆遊☆白書』は19巻で完結しており、1980年代を代表する『北斗の拳』は全27巻。そこに並べてみれば、「鬼滅の刃」の23巻という数字は大分収まりがいい。

スピード感やテンポを重視したSNS時代のマンガと、じっくりと作品世界の奥行きを深めていく“SNS以前”のマンガ。読者目線では好みで作品を選ぶだけで済むものの、作者や編集者にとっては実に悩ましい難問となっていきそうだ。

文=大上賢一
写真=まいじつエンタ

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