日本人の4割が生まれ変わりを信じている!? 『鬼滅の刃』でも話題「輪廻転生」という思想

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人間は死んでも霊魂が残り、別の生き物となってふたたびこの世に戻ってくる…。そうした考え方は「輪廻転生」と呼ばれ、遥か昔から信じられてきた。現代日本でも、多くの人が“生まれ変わり”の思想に魅了されているという。

昨年12月、Twitter上で輪廻転生について激しい議論が交わされていた。話題の発端となったのは、とある小学校教員によるツイートだ。彼の生徒は人気マンガ『鬼滅の刃』のファンであり、作中に表現された生まれ変わりの思想を「素敵」だと言っていたそう。

そこで教員は、自分の生徒たちに「人は死んだら生まれ変わると思う?」と質問。すると、半数以上が生まれ変わりを信じていることが明らかに。教員自身は輪廻転生について認めない立場だったため、生徒たちを導くために「生まれ変わりは全力で否定しておいた」という。

ところがネット上では、教員の判断をめぐって批判の声が続出。子どもの死生観を否定することに対して、《生まれ変わるか変わらないかは、実際には誰もわからない。だから、どちらも断定するのは違うと私個人は思います》《全力で否定する意味がわかりかねます。信じるにしろそうでないにしろ、押しつけはよくない気がします》《子どもなりに、自我の芽生えに伴う死の不安に対処しようとして構築した世界観かもしれない。だから安易に揺るがせにしてはならない、たとえ教師でも!》といった意見が上がっていた。

また、《これから親が外国籍の子どもが増えていくので、そういう強要はやめた方がいい。宗教的な背景は人それぞれ》《輪廻転生の考えは遥か古くからあるので、そんな不思議ではないかも。日本なら親御さんが仏教徒、も多いでしょうし》などと、宗教的なバックボーンに配慮すべきという意見も多い。

なぜ死生観の押しつけはよくないのか

科学の進歩によって、人々は霊魂の存在や死後の世界を否定するようになった。しかし近代科学が生み出した「人間の死後には何も残らない」という価値観は、歴史的に見ると特殊なものに過ぎない。

人類学者・竹倉史人による『輪廻転生 〈私〉をつなぐ生まれ変わりの物語』という書籍を読むと、今でも世界中の人々が「輪廻転生」を信じていることがよく分かる。同書では「あなたは輪廻転生を信じますか?」という質問に対して、日本では42.1%の人が「あると思う」と答えた…というデータを掲載。その上で、さまざまな国における「輪廻転生」思想の歴史や背景が紹介されている。

竹倉によると、輪廻転生には「再生型」「輪廻型」「リインカネーション型」という3つの類型が存在。「再生型」と「輪廻型」が民族文化や宗教にルーツをもつ一方、「リインカネーション型」は近代ヨーロッパに端を発するものであり、近年のスピリチュアルブームにも通じている。そして日本の文化史においては、これら3つの類型が織り交ざっているという。

死生観はたんなる価値観ではなく、人生の支えとなるもの。葬式や家族のあり方など、社会における人々の“つながり”とも密接に関わっている。中には輪廻転生を信じることによって、生きやすさを感じている人もいるはず。科学的な正しさとは別の部分で、多くの人に必要とされているのだ。

『鬼滅の刃』だけでなく、「輪廻転生」思想をバックボーンとした創作物は珍しくない。「教育に悪い」と一概に否定するのではなく、死生観のあり方について深く考えてみることが重要だろう。

文=田村瞳

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