『鬼滅の刃』を政治利用? お偉いさんが全集中する“パクリの呼吸”に呆れ声

『鬼滅の刃』1巻(吾峠呼世晴/集英社)

お菓子やアパレルはもちろん、「たまごっち」やランドセルまで…街を見渡すと、今やあらゆる場所で『鬼滅の刃』のコラボグッズが目に入ってくる。不況を乗り越えるため、各業界はこぞって鬼滅パワーのおこぼれにあずかろうとしているのだろう。ブームはとどまることを知らず、近頃では政治家が流行に便乗しようとする動きも活発化しているようだ。

露骨すぎる「パクリの刃」

中でも悪質な便乗として物議を醸しているのが、兵庫県尼崎市内に貼られたポスター。「日本維新の会」に所属する尼崎市議会議員・光本圭佑氏が制作したポスターなのだが、なんだかどこかで見たことのある市松模様とロゴデザインが用いられている。それに極めつけは、「心を燃やせ!」というキャッチコピー。どう見ても「鬼滅の刃」に登場する人気キャラクター・煉獄杏寿郎の「心を燃やせ」という名ゼリフそのものだ。

あまりにも露骨すぎるパクリに対して、ネット上では《タチが悪い…の一言ですな》《よもやよもやの馬と鹿。大阪の恥をこれ以上晒してほしくないですね》《いかにも軽薄という印象をうける》《政治家がやることではないよね。止める人いなかったの?》と大不評。光本氏は事前に権利関係の確認を行っていたような口ぶりで弁解していたが、『週刊少年ジャンプ』編集部はツイッターで《【お知らせ】 一部政治家のポスター等に『鬼滅の刃』の作品イメージを利用したものが見受けられますが、株式会社集英社および週刊少年ジャンプ編集部は、これらについて一切の関与をしておりません》という声明を発表した。

バッシングを受けて市内の当該ポスターはすべて回収されるという顛末を迎え、光本氏は厳重注意処分を受けたようだ。

この騒動にかぎらず、最近では政治家による安易な「鬼滅の刃」への便乗が相次いでいる。たとえば菅義偉首相は、去年行われた衆院予算委員会で「全集中の呼吸で答弁させていただく」と作中に登場する設定を引用していた。その際も国民から《サムすぎる》と総ツッコミを喰らっていたはずだが、どうして政治家たちは同じ轍を踏んでしまうのだろうか…。

同情できるパターンも?

何かと反感を買いがちな政治家の「鬼滅の刃」便乗だが、中には少しだけ同情したくなるケースも存在する。福岡2区選出の衆議院議員・鬼木誠氏が、自身のポスターに「鬼滅の刃」に酷似したロゴマークを採用していたのだ。

こちらも前述した「日本維新の会」のポスターと同じく、ネット上では不満の声が続出。鬼木氏は謝罪し、ポスターも当然ながらすべて回収されることになった。

たしかに安易なブームへの便乗ではあるものの、鬼木氏に関しては自身の名字に「鬼」と入っていたことから思わずやってしまったことなのだろう。計算が透けて見える便乗は胡散臭いが、人気作品との意外な共通点に舞い上がってしまった…ということなら、その気持ちはわからないではない。

「鬼滅の刃」は国民的人気作品だけあって、誰もが真似しやすい要素や、思わず言いたくなるセリフも多い。しかしそうした上辺だけを真似ると、サムい結果に終わってしまう。もし人気にあやかりたいのであれば、反発を招かないように工夫した方がよさそうだ。

文=富岳良
写真=まいじつエンタ

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