少年誌の王者『週刊少年ジャンプ』でサッカー・野球漫画が流行らない理由

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ヒット作を連発する『週刊少年ジャンプ』において、なぜサッカー・野球を扱った漫画は流行らないのか。漫画ファンの間では定期的に議論されるテーマだが、漫画・アニメ好きでサッカー経験者でもある筆者の目線から考察していこうと思う。

まずサッカー漫画に関しては、結論から言うと「そもそもサッカーが少年誌向きの題材ではない」という点が大きい。というのもやはり少年誌、とりわけ「ジャンプ」において、〝必殺技〟のない漫画は流行らない。そしてサッカーは、必殺技という概念とどうにも相性が悪いスポーツなのだ。

かつて「ジャンプ」でヒットした『アイシールド21』には、アメフトを「専門職のスポーツ」と言い表す場面がある。実際に同作の見どころは瞬足の主人公・セナや、キャッチのヒーロー・モン太といった、専門家たちの必殺技。一方でサッカーはというと、シュートの専門家やパスの専門家では活躍しづらい〝トータルスポーツ〟だと言えるだろう。

もちろん「ジャンプ」にも、『キャプテン翼』というレジェンドクラスの成功例がある。また「ジャンプ」以外の子ども向けコンテンツとしては、『イナズマイレブン』が少年たちに大人気。しかしいずれも必殺技をサッカーに取り入れた結果、現実のサッカーとは乖離した〝トンデモサッカー〟になってしまっている。

トンデモサッカーが悪いというわけではなく、むしろ少年漫画としては大正解なのだが、今同じことをやっても『キャプテン翼』や『イナズマイレブン』などの二番煎じになるだけだろう。

野球漫画はやり尽くされている?

その一方、「野球」に関してはサッカーと違い、必殺技が映えるスポーツのように思える。「ジャンプ」でいえば、ギャグ漫画寄りではあるが〝ミスフル〟こと『Mr.FULLSWING』が必殺技を前面に押し出した野球漫画として有名。ところが結局『ミスフル』も打ち切りという形で終わっており、それ以降も目ぼしい野球漫画は世に出ていない。

『巨人の星』や『ドカベン』、『MAJOR』、『おおきく振りかぶって』など、他の雑誌ではさまざまな野球漫画が生まれ、歴史に名を残している。その中で「ジャンプ」だけ野球漫画のヒットが少ない理由を考えると、単純に〝やり尽くされた〟ジャンルだからなのではないだろうか。トンデモ系、リアル系を問わず、世の中には膨大な数の野球漫画があり、今さら新しいことをやるのは困難。それよりも『ハイキュー!!』のバレーボールや、『火ノ丸相撲』の相撲のような、比較的手つかずのスポーツを題材にした方が読者の興味を引きそうだ。

ここまで「ジャンプ」でスポーツ漫画がウケない理由を考えてきたが、2月15日に発売された号では『クーロンズ・ボール・パレード』という新しい野球漫画の連載が始まった。同作は分析力に優れるキャッチャーを主人公にした、ややリアル寄りの野球漫画。同作が流行れば「ジャンプも野球漫画で勝負できる」ことの証明になるのだが、果たしてジャンプの読者層に受け入れられるのだろうか。

文=大上賢一

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