『島耕作』新型コロナ“隔離”描写に称賛! 一方で蒸し返される『美味しんぼ』の黒歴史

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現代社会のさまざまな時事ネタを取り上げてきた、弘兼憲史の『島耕作』シリーズ。2月25日に発売された雑誌『モーニング』では、ついに島耕作の新型コロナ感染が発覚した。そんな中、ネット上では『美味しんぼ』のとあるエピソードを連想する人が相次いでいるようだ。

今回掲載された『相談役 島耕作』の「STEP 37」は、島耕作がPCR検査を受けるシーンからスタート。その後、検査の結果が「陽性」だったことが判明し、品川のホテルで隔離療養することになる。

作中では、島耕作の目を通して陽性者の心境がリアルに描写されることに。また自室に置かれた「パルスオキシメーター」や、ロビーにて支給されるお弁当の内容など、隔離施設の内部事情も丁寧に描かれていた。

ページの枠外では、「知り合いから情報を貰って、今回のお話を描いた」という作者コメントも。今回のエピソードを描くにあたって、作者は隔離施設を体験した人に取材を行ったようだ。

まるでルポ漫画のような情報の精度に、読者の間では《そのまま厚労省が冊子に使えそうな内容だわ》《ここに来て、コロナのマニュアル漫画になってきた》《ペッパーくんの下りがリアリティに溢れていて最高だな》と称賛の声が相次いでいる。

『美味しんぼ』と比べてみると…

その一方で、SNS上では長寿グルメ漫画『美味しんぼ』の名前を出す人も。《島耕作、美味しんぼのアレと比べたら何倍も真面目に時事ネタやってる》《何もかも間違っていた美味しんぼの鼻血描写と比べると、島耕作のコロナ描写は大したもんだな》《美味しんぼの鼻血みたいな作者の偏見じゃなくて、実際にコロナになった人から話を聞いて書く辺りは好感が持てる》《島耕作がコロナ感染を割とフラットに描いてるっぽくて、美味しんぼが今連載してなくてよかった、みたいなのはある》などと、両作品を比較する声があがっている。

「美味しんぼ」では2014年に、放射能汚染をテーマとした「福島の真実編」というエピソードを掲載。作中では原発を訪れたキャラが鼻血を出すなどのシーンがあり、「科学的な根拠に欠ける」と物議を醸すことに。福島県双葉町は抗議文を発表し、漫画によって風評被害が生じるほか、「双葉町民のみならず福島県民への差別を助長させることになる」と指摘していた。

漫画は活字などと比べて、読者の共感を誘いやすい表現媒体。一歩間違えれば、多くの人を傷つけることになってしまう。「島耕作」コロナ療養編は、漫画家の倫理観をあらためて見直すきっかけになるかもしれない。

文=大上賢一

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