『よつばと!』は“富裕層”向けの漫画? 嫉妬心で作品を楽しめない読者

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あずまきよひこによるマンガ『よつばと!』の最新刊が、約3年ぶりに発売された。同作はゆるい空気感のギャグが詰まった日常系漫画で、大人から子どもまで楽しめる大人気作品だ。しかし、そんな同作を「純粋に楽しめなくなった」という人たちもいるらしく、ネット上で激論が繰り広げられている。

コトの発端は、とある読者のツイートだった。彼は「よつばと!」の最新刊を読んだ際に、かつては気づかなかったような違和感を抱いたという。具体的には「経済的な豊かさ」といった要素を挙げつつ、「もう純粋には楽しめなくなってしまったな」と記していた。

それに続くツイートでは、「日用品も消耗品も『ちょっといいもの』ばかりを選んで買える経済力、それでいて自由時間の多い労働、センス良いもので生活を満たせる美的感覚」などと羅列し、「全てが『鼻持ちならないリベラル』が満足しそうな要素でできている」と厳しく批判するのだった。

一連のツイートで指摘されているのは、主人公・小岩井よつばを取り巻く環境が「豊かすぎる」ということ。富裕層、あるいは上流階級の生活には共感できない…という読者の心情がハッキリと読み取れる。

『よつばと!』の生活描写に賛否!

作中でよつばを育てる〝とーちゃん〟こと小岩井葉介は、シングルファーザーという設定。しかし、フリーの翻訳家で一軒家に暮らしていることから、かなりハイスペックな人物だと思われる。しかも昔は世界各地を旅していたそうなので、もともと裕福な家庭の生まれだった可能性も。華々しい設定の数々に嫉妬する気持ちも分からなくはない。

ネット上では、投稿者の意見に賛同する人から《アメリカだったら、いわゆる郊外に住む白人富裕層みたいな存在が描かれているというのはわかる》《オープンカー乗ってるのみて(作者の裕福さが)見える見えるっておもった》《ここまでは言わないけど、正直嫉妬みたいな気持ちは湧いてくる》といった意見が飛び交っている。

しかし、フィクションと現実を混同すべきでない、と考える人も多い。《厳しい現実なんか見せても売れんしオモロくないし大衆はそんなの求めてない》《それ貧民の僻みなだけなんじゃないの》《よつばとでそんなこと感じちゃうってどれだけ追い詰められた生活してるんだよ》《漫画すら飯の種にして明後日の方向から叩かないといけない人間のほうがよほど浅ましいわ》などと反発する声も後を絶たない。

そもそも同作は、ファンタジー的な設定にリアリティーをもたせるため、さまざまな工夫を凝らしている作品。漫画でありがちな〝父親がずっと家にいる〟といった謎描写を、上手い具合に職業設定などでカバーしている。読者のストレスを最大限排除しているため、誰もが癒されるストーリーだと言えるはずだ。

それにも関わらず、多くの人が嫉妬心を剥き出しにしているのは、現在の日本があまりにも貧しくなった証かもしれない。誰もが「よつばと!」を笑って楽しめる時代は、過去のものとなってしまったのだろうか…。

文=大上賢一

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