ビールの可能性を無限に広げる「クラフトビール」。醸造所は全国にあり、それぞれがオリジナリティあふれる風味豊かなクラフトビールを追求している。前編に引き続き、本稿でも『風上麦酒製造』最高経営責任者であり、『東海道BEER川崎宿工場』の醸造技師でもある田上達史(たのうえ さとし)氏にインタビューを敢行。その道のプロが教える、おいしいクラフトビールの選び方などを紹介していこう。
Don’t think. Feel!

田上達史氏
現在、ユニークな名前のクラフトビールが爆発的に増えているようだ。たとえば、北海道にある『わかさいも本舗 のぼりべつ地ビール鬼伝説』は、『青鬼ピルスナー』や『鬼は外IPA』といった鬼にちなんだ名前のビールをたくさん製造している。また、大阪府のブルワリー『箕面ビール』では、猿のキャラクターラベルが印象的な『MINOH BEER ボスざる』や『MINOH BEER おさるIPA』などのビールが有名だ。
しかし名前を見るだけでは、味を想像するのは難しいもの。あまりに多種多様なので、自分にどれが合うのか分からない…と悩んでしまう人もいるだろう。ではクラフトビールの初心者は、どんな風に商品を選べばいいのだろうか?
田上氏によると、クラフトビールはとにかくいろんなものを飲んでみるのが良いそう。多様性こそがクラフトビールの魅力なので、「Don’t think. Feel!」の精神で気になったものを気になった時に手に取るのがオススメだという。
──初心者はどんな風にクラフトビールを探せばいいのでしょうか?
田上氏:たとえば、評判やラベルで選ぶのもアリです。中身を伝えるためにラベルのデザインがあるので。
──「ジャケ買い」みたいな?
田上氏:そうですね。
──メニューやラベルにある「IBU」というものも参考になりますか?
田上氏:「IBU」とは、ホップからくる苦み成分の含有量ですね。まったく同じ条件なら高い方が苦いんですけど、甘いビールと甘くないビールでは苦みの感じ方が変わります。なので、基本的には「IBU」は気にしすぎない方がいいです。むしろそれで判断が鈍る人も多いので、数値にだまされないというのも重要です。
──では、「ABV」とは何でしょう?
田上氏:それはアルコールの量です。日本は体積に対するアルコールの量を数値化し、海外は国によっては重さでパーセントを出すところもあります。細かいことは気にしないでいいけど、アルコールの濃度だと思ってもらえれば。
あまりお酒が強くない人は、「ABV」が高いクラフトビールを飲むと早々に酔っ払う羽目になりそうだ。あくまで参考程度でかまわないが、自分のアルコール耐性と相談しながらクラフトビールをチョイスするといいのかもしれない。