『チェンソーマン』マキマ“祈祷”の元ネタは? 作中に散りばめられた映画オマージュ

『チェンソーマン』11巻(藤本タツキ/集英社)

いつの世も、優れたクリエイターは他人の作品に感銘を受けて名作を生み出すもの。大人気漫画『チェンソーマン』の作者・藤本タツキの場合は、その対象が「映画」だったらしい。彼はかなりの映画マニアであり、主人公・デンジがサメの魔人と共闘するシーンが「どう見ても『シャークネード』だ」と話題になったこともある。

同作では他にも数多くの映画が元ネタとなっており、いずれも大胆なサンプリングばかり。元の作品を知っている人は思わずニヤリとしてしまうはずだ。以下では実際にどんな映画から影響を受けているのか、ご紹介していこう。

古今東西の映画を猛スピードで横断

まずはコミックス4巻収録の第27話『京都より』。同エピソードではマキマが神社で祈祷を行い、囚人を生贄に敵を呪い殺していくショッキングな場面が描かれる。その元ネタとなったのが、2016年に韓国で公開されたサスペンスホラー『哭声/コクソン』の儀式シーンだ。たんなる憶測ではなく、作者自身が該当話数の『週刊少年ジャンプ』巻末コメントにて、《伊藤潤二先生の潰談とナ・ホンジン監督のコクソンを見て描きました!》と公言しているので確実だろう。

次はコミックス5巻からスタートする、レゼ編における名作映画のオマージュ。第42話『泳ぎ方を教えて』でデンジとレゼが出向いた「雨が降っている夜中の学校」というシチュエーションは、1985年に公開された相米慎二監督の『台風クラブ』が元ネタだ。台風が襲来する中、夜中に学校に忍び込んだデンジとレゼはプールではしゃぎまわる…。この流れと同じシークエンスが映画にも存在するため、意図的になぞらえたものだとわかる。

また、2巻に収録された第15話『エンドレス8階』は、イサーク・エスバン監督の不条理スリラー『パラドクス』をベースにしている可能性が高い。この映画は、9階の階段を上がっても下がっても永遠に同じ階に戻ってしまうマンションに閉じ込められた主人公たちが、徐々に正気を失っていく…というストーリー。〝永遠の悪魔〟に捕らえられたデンジたちがホテルの8階から出られなくなる、という筋書きは否応なしに同作を思い出させる。またサブタイトルから察するに、舞台となる階数が9から8に変わっているのは、アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』で描かれた「エンドレスエイト」のオマージュなのだろう。