『ONE PIECE』は第1話から面白い? 完璧すぎる構成を徹底分析

「ルフィ」が出来上がっていくまで

第1話の20ページ目では、ルフィが「ゴムゴムの実」を食べたことが明かされる。ゴム人間という衝撃的な設定であり、誰もが「ゴムゴムの能力で何ができるのか」「他にはどんな悪魔の実が出るのか」などと好奇心をかき立てられてしまうはずだ。しかし驚くべきことに、この段階ではほとんど能力の話は掘り下げられない。

ゴムゴムの能力が活躍するのは、作中で10年の月日が経った後のこと。海賊として旅立つルフィが「近海の主」を吹き飛ばすシーンまで、おあずけとなっている。1話目をすっきりと読みやすくするため、主題である「ルフィとシャンクスの話」から脱線しないように構成されているのだろう。

さらに、第1話で重要なポイントがもう1つある。それは短いストーリーの中で、ルフィのキャラデザが一変しているということだ。初登場時のルフィは、とくに目立った特徴のない村の少年だった。そこからナイフによって目元の傷が生まれ、シャンクスから麦わら帽子を預けられる。

また、ルフィは最初なんの力も持っていなかったが、ラストページでは世にも奇妙なゴム人間となっていた。つまり読者は、主人公・ルフィが誕生するまでの過程を一緒に見守っているのだ。ゼロから誕生を見守ったとなれば、誰もが愛着を抱いてしまうはず。こうして、世界中の人々に愛される大人気キャラクターが生まれたというわけだ。

こうして読み返してみると、「ONE PIECE」の原点にはさまざまな工夫が詰まっていることが分かる。連載当時、『週刊少年ジャンプ』にて1話目から読者アンケート1位を達成したそうだが、あまりにも納得のいく結果だろう。1997年の初出から20年以上経っても色褪せない、本物の伝説がそこにはある。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』98巻(尾田栄一郎/集英社)

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