『進撃の巨人』だけじゃない! 画力を捨てて売れた“剛腕漫画家”たちの系譜

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漫画はストーリーやキャラの魅力など、さまざまな要素によって成り立っているもの。しかし、人気作家たちの中には画力をかなぐり捨て、成功を収めた者も少なくない。今年4月に完結したメガヒット作『進撃の巨人』も、「物語の秀逸さに画力が追い付いていない」ことで度々話題を呼んできた。果たして漫画が売れるには、画力は必要ないのだろうか。

「進撃の巨人」の諫山創と同じく、画力以外で勝負する作家といえば、多くの人が福本伸行の名前を挙げるだろう。福本は『賭博黙示録カイジ』や『アカギ―闇に降り立った天才』といったギャンブル漫画を生み出してきたレジェンド作家。しかし、その絵はかなり独特であり、好き嫌いが大きく分かれることで知られている。

そうした特徴は福本自身も認識しているよう。2016年にテレビ番組『ナカイの窓』(日本テレビ系)に出演した際には、学生時代の画力を振り返り、「こういう人目指しちゃいけないだろうっていうぐらいは(絵が)ヘタでしたね」と自虐的なセリフを放っていた。

しかし、ほとんどのファンは画力を気にしていないようで、ネット上では《既視感のある絵柄のマンガよりずっと良い》《マンガの面白さは画力じゃないんだよなあ》《あれはあれで味がある》と擁護する声が多くあがっている。

漫画家にとって本当に必要なものは…

また、『とっても!ラッキーマン』などで有名なジャンプ作家・ガモウひろしも忘れてはならない。ガモウの絵柄はかなり淡泊で、決して画力で評価されるタイプではなかった。しかし予想を裏切る展開によって、読者の心を惹きつけるテクニックに関しては右に出る者はいない。

また公式には明かされていないが、小畑健とタッグを組んで『DEATH NOTE』や『バクマン。』などを生み出した〝大場つぐみ〟の正体はガモウだと言われている。面白い話を作る才能さえあれば、本人に画力がなくても傑作を生み出せるという典型的な成功例だ。

同じくジャンプのレジェンド作家・冨樫義博も、画力では勝負しない作家。冨樫はかつて新人賞の総評で、漫画家になりたいなら「話の勉強」をするべきだと主張したことで有名。「漫画家になりたいなら絵を描いている暇なんてない」とすら豪語していた。

そんな冨樫本人の作品も、ときに力を抜いた絵になることがある。『HUNTER×HUNTER』がネームのような状態で掲載されることも多く、ペン入れしてあっても《さすがに雑すぎる》《絵柄が違う》と物議を醸す始末。しかしそれでも作品の魅力はまったく衰えず、多くの読者を惹きつけているため、漫画の本質が画力ではないことは間違いないのだろう。

最初に例を挙げた「進撃の巨人」にしても、画力がネタにされるものの、その設定やストーリーに関しては誰もが認めるところ。誰も見たことがない世界観、伏線の多さ、緻密に練り上げられたキャラたちの関係性…いずれも魅力的で、先へ先へとページをめくりたい衝動に駆られてしまう。

最近ではSNSや動画サイトの発達によって、簡単にイラストの練習方法を学べるようになった。実際に、漫画家志望の人々の画力はひと昔前よりも底上げされているはずだ。しかしそんな時代だからこそ、今後はますます画力以外の魅力が求められるようになっていくのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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