『ONE PIECE』キャラの笑い方が“ヘン”なのはなぜ? 意外な作品の影響が…

『ONE PIECE』キャラの笑い方が“ヘン”なのはなぜ? 意外な作品の影響が…

『ONE PIECE』98巻(尾田栄一郎/集英社)

「グラララ…」「ヤハハハ…」など、『ONE PIECE』には一度聞いたら忘れられない笑い方をするキャラが多数登場する。一体なぜ作者の尾田栄一郎は、ノイズになりかねない〝ヘンな笑い方〟を描くのだろうか。実はその背景には、とある意外な作品が影響しているらしい。

その作品のタイトルは、ゆでたまごによるプロレス系格闘漫画『キン肉マン』。同作にはさまざまな個性をもった「超人」なる存在が登場するが、彼らを特徴付けているのが口癖や笑い方だ。相手をミイラにする必殺技を持つミスターカーメンは「マキマキ」、水道の蛇口がモチーフのジャック・チーは「ジャジャジャー」、タイヤがモチーフのマックス・ラジアルは「バルルーッ」など、超人たちの個性にあわせた言葉遊びが行われている。

「ONE PIECE」においても事情は同じ。作中では各キャラの名前や「悪魔の実」の能力にちなんだ笑い声が描かれていることが多い。たとえば「グラグラの実」の能力者、白ひげ(エドワード・ニューゲート)は実の特性を表した「グラララ」。ドンキホーテ海賊団の最高幹部だったピーカは、「ピッキャピッキャララ」とかなり個性的な笑い方をする。また空島の神・エネルの「ヤハハハ」は、聖書などにおける唯一神「ヤハウェ」が由来である説が濃厚だ。

笑い方もテクニックの1つ? 両作の共通点とは…

「ONE PIECE」と「キン肉マン」の共通点は明らかだが、これはたんなる偶然ではない。というのも尾田は以前から「キン肉マン」の大ファンであることを公言しており、一番好きなジャンプ作品として同作を挙げるほど筋金入りのファン。「ONE PIECE」の本編やカバー裏などに時折登場する隠れキャラ、パンダマンも元々はオリジナル超人に応募するため生み出されたもので、実際に公式ファンブック『キン肉マン 77の謎』にパンダマンが掲載されたことも。こうした事情を考えると、尾田が同作から影響を受けた可能性はかなり高い。

「ONE PIECE」と「キン肉マン」は、いずれも登場するキャラクターの数が多い。そのため少ない出番でキャラの特徴を読者に印象付ける必要があり、笑い方の工夫といったテクニックを用いるようになったのかもしれない。

ちなみに「キン肉マン」では序盤から変わった笑い声の超人が登場していたわけではなく、王位争奪編あたりから徐々に増えていった。作者のゆでたまごは雑誌連載で数多くの超人を生み出していく中で、逐一説明せずとも笑い声や口癖でキャラを立たせるテクニックを確立していったのだろう。

なお、この特徴は続編である「キン肉マンII世」から、より顕著になったようだ。実は「キン肉マンII世」の連載開始は「ONE PIECE」と同じ1997年から。もしかすると、尾田とゆでたまごはお互いに作品を通して影響を与え合いながら、漫画における笑い方という個性を完成させていったのかもしれない…。

文=野木
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』98巻(尾田栄一郎/集英社)

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