背筋がゾッする… 映画『クレヨンしんちゃん』のディープすぎる「裏テーマ作品」3選

背筋がゾッする… 映画『クレヨンしんちゃん』のディープすぎる「裏テーマ作品」3選

背筋がゾッする… 映画『クレヨンしんちゃん』のディープすぎる「裏テーマ作品」3選 (C)PIXTA

『ドラえもん』や『サザエさん』にならぶ国民的アニメとして、いまだに根強い人気を誇っている『クレヨンしんちゃん』。TV版はほとんど日常的なエピソードだが、劇場版はエキセントリックな作品が多いことで知られている。今回はそんな「劇場版クレヨンしんちゃん」に秘められた、ディープな「裏テーマ」について解説していこう。

実は同時代の社会問題を反映している!?

<その1>『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』
まず取り上げたいのは、2015年に公開された映画『クレヨンしんちゃん オラの引越し物語 サボテン大襲撃』。同作に隠されているのは、現代社会でもっとも深刻なテーマの1つである「原発問題」だ。

同作のストーリーは、野原一家がメキシコに引っ越すというもの。新たな居住地であるメキシコでは、「キラーサボテン」なる植物が育っているという世界観だ。「キラーサボテン」にはおいしい果実が実り、周辺の人々の生きる糧となっている。しかしその一方で、人を食べてしまう危険な植物でもあり、メキシコの住人を恐怖に陥れていた。

日常生活の礎でありながら、時として人を恐怖に陥れるという危険性。この二面性は、まさに「原発」のメタファーだと言われている。映画の終盤では、しんのすけが水を浴びせて「キラーサボテン」を討伐するシーンもあり、この描写からも暗喩が見て取れる。

ちなみに監督の橋本昌和も、「東日本大震災」をきっかけとして原発の存在が問題視されたことに言及しており、その影響を否定していない。子ども向けというより、大人の心にこそ深く突き刺さる作品と言えるだろう。

<その2>『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』
次に紹介するのは、2001年に公開された『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の裏テーマ。同作には悪役としてケンとチャコというカップルが登場するが、そのチャコが「不妊症だったのではないか」という説が囁かれている。

この説の根拠となっているのは、原作漫画「クレヨンしんちゃん」と同時期に『漫画アクション』内で連載されていた『同棲時代』という作品。同作に登場するカップルは結婚せずに同棲しており、その設定がチャコたちと共通している。そして「同棲時代」のヒロイン・今日子は堕胎施術の後遺症によって不妊症を患っているため、彼女をモデルとしたチャコも同じ境遇ではないか…と推測されているのだ。

その説を裏付けるかのような場面が、映画内には散見される。たとえば映画の終盤、「20世紀リバイバル計画」を止めるべくひろしがエレベーターに食らいつくシーン。ひろしは愚かな計画を遂行するケンとチャコに対して、「家族がいる幸せをあんたたちにも分けてあげたいくらいだぜ!」と糾弾。それを聞いたケンは怒りを露わにし、ひろしの手を踏みつける。感情的な行動をしないケンが、珍しく怒りを見せたシーンだった。

もしチャコが本当に不妊症であれば、ひろしの発言は決定的な暴力だ。ケンが怒りを抑えられなかったのも当然だろう。このセリフはひろしの「名言」とも言われるが、裏テーマを考えると一気に恐ろしさが際立ってくる。