ジャンプ史上最大のインフレ!? 西尾維新が『めだかボックス』で巻き起こした革命

ジャンプ史上最大のインフレ!? 西尾維新が『めだかボックス』で巻き起こした革命

ジャンプ史上最大のインフレ!? 西尾維新が『めだかボックス』で巻き起こした革命 (C)PIXTA

『週刊少年ジャンプ』をはじめとした少年漫画では、物語が進むにつれて登場人物の強さがインフレを起こしがち。『ドラゴンボール』には「戦闘力」という強さを可視化するシステムがあったが、途中からほとんど意味を成さなくなった。そんなインフレにまみれた漫画の中でも、最大級のパワーインフレを起こした作品が『めだかボックス』だ。

同作は、「ジャンプ」にて2009年から2013年にかけて連載された作品。原作は「戯言シリーズ」や「〈物語〉シリーズ」で知られる小説家・西尾維新が担当し、作画は暁月あきらが務めた。

主人公の黒神めだかは容姿端麗・才色兼備の完璧超人。「箱庭学園」で生徒会長を務め、目安箱に投書されたお悩みを解決していく…というストーリーだった。しかし、そうした学園コメディーの枠組みはすぐに消え去り、バトル漫画へと変貌していくことに。

第22話辺りで、人為的に天才を造り上げる「フラスコ計画」なる陰謀が判明。そこから常人離れした能力を持つ「異常者(アブノーマル)」という勢力が出現し、めだかとのバトルを開始する。そこからは異能力バトル漫画として、読者に熱狂的な支持を受けるようになった。

なお「異常者」との闘いの中で、めだかは「完成(ジ エンド)」という能力に覚醒。これは他人の能力を当人より完全な形で会得するというスキルで、チート級の能力だと言える。つまり、はやくも異能力バトルの限界を提示してみせたのだ。

後半は“チートスキル”のオンパレード

だが、「めだかボックス」のパワーインフレはまだまだ序の口。半ば最強と化しためだかに対抗するべく、西尾はライバルキャラ・球磨川禊を登場させる。球磨川は「過負荷(マイナス)」に属するキャラクターで、固有能力として「大嘘憑き(オールフィクション)」というスキルを所持。これは全てをなかったことにする能力であり、死んでも〝死そのものをなかったことにする〟というめちゃくちゃなことまで実現してしまう。

さらに物語は加速し、〝安心院さん〟こと安心院なじみの登場により、ジャンプ史上最大級のパワーインフレを巻き起こす。安心院さんは一見普通の女子高生なのだが、実は7932兆1354億4152万3222個の「異常」と4925兆9165億2611万643個の「過負荷」、計1京2858兆519億6763万3865個のスキルを併せ持つチートキャラの権化だったのだ。

これらのスキルのおかげで、安心院さんは不老不死であり無敵。加えて約7億人の端末(部下のようなもの)を従えているというおまけ付きで、このキャラをどうやって処理するのか当時の読者は皆目検討がつかなかったようだ。しかし終盤では、そんな予想すら上回ってくるような衝撃展開が描かれる…。

バトル漫画が陥りがちなパワーインフレを逆手にとり、それを極限まで突き詰めるという試みは「ジャンプ」史上初。いや、少年漫画の歴史でも唯一無二だろう。原作者の西尾は「戯言シリーズ」でミステリー界を騒然とさせ、「〈物語〉シリーズ」でライトノベル業界に激震を与えたが、同作は少年漫画の革命だったと言える。

連載終了から約7年が経過しているが、その衝撃はいまだに薄れていない。TVアニメ化は中途半端なところで終わっているが、もし続編があればアニメ業界にも革新をもたらすのではないだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部

【画像】

Benzoix / PIXTA

【あわせて読みたい】