アニメの“作画崩壊”をめぐる大きな誤解!「中割り」を知らないにわかアニメ好きたち…

アニメの“作画崩壊”をめぐる大きな誤解!「中割り」を知らないにわかアニメ好きたち…

アニメの“作画崩壊”をめぐる大きな誤解!「中割り」を知らないにわかアニメ好きたち… (C)PIXTA

「作画崩壊」はアニメにおける一大トピックで、明らかに絵のクオリティーが低いワンシーンを指して使われる言葉だ。数あるアニメの中には、悲惨な作画崩壊によって歴史に残った作品も少なくない。だが、アニメ制作における手法「中割り」を作画崩壊扱いする人も多く、現場の人間やコアなアニメファンは頭を抱えているようだ。

「中割り」とは、手描きアニメにおける作画工程の1つ。絵に動きをつけるため、アニメーターが描いた原画と原画の間に挿し込まれる絵のことだ。クオリティーの高い原画とそれをおぎなう中割りの連続によって、躍動感のあるアニメの動きが実現される。

なお、「中割り」はわずかな時間しか表示されず、あくまで原画の間を埋めるもの。時には緩急のある動きを演出するために、あえて「中割り」の絵を崩して描くテクニックも存在する。崩れた絵はほんの一瞬なので、普通にアニメを見るだけなら気づかないことがほとんど。しかしコマ送りや一時停止をすれば簡単に見つけられるため、「中割り」を作画崩壊と勘違いする視聴者が後を絶たない。

本来、作画崩壊とは止め画が崩れていたり、動きが明らかにおかしいといった原画レベルのものを指す言葉だ。しかし最近では「中割り」を作画崩壊とみなす声がアニメーターを困らせているようで、ツイッターでは《以前プロのアニメーターに聞いたハナシ。アニメは「動き」なのでアクションに緩急や迫力をつけるために「わざと」崩して描く場合があるのに、コマ送りして「作画崩壊www」っていう連中が現れ始めてからそういう手法が使いづらくなったって言ってた》という投稿が注目を集めていた。

「中割り」は作画崩壊じゃない!

2000年代に放送された『NARUTO -ナルト-』『天元突破グレンラガン』『ノエイン もうひとりの君へ』などのように、あえて絵を崩すことで神作画を実現したアニメはいくつもある。しかし、いずれもコマ送りで作画崩壊を指摘する人々のせいで、作品の評価に影響する事態にまで発展してしまった。

とくに知名度の高い作品ほど、にわかファンの餌食になりやすいのが実情。アニメ「NARUTO -ナルト-」の第30話『蘇れ写輪眼!必殺・火遁龍火の術!』や、「NARUTO -ナルト- 疾風伝」の第167話『地爆天星』でのワンシーンなどは、作画崩壊の話題になると必ずと言っていいほど挙げられてきた。

こうした風潮について、コアなアニメファンからは《NARUTOは作画崩壊じゃなくて演出なのに、その部分だけ抜粋して作画崩壊言われるのはおかしい。流して見ると鳥肌もんの演出なのにね》《あえてやっている中割りを作画崩壊って言ってる人は苦手とかではなくて普通に嫌い》《「作画崩壊」って言いながらNARUTOの中割り画像切り出しを貼り付けるにわかオタクが堕ちる地獄があるらしい》などと、怒りの声が殺到している。

近頃は3DCGアニメの増加も相まって、作画崩壊が話題になる機会は減っている。だが「中割り」を最大限に利用した、外連味あるアクションシーンが減少してしまった側面も否めない。アニメに限ったことではないが、一部分を切り取って笑う前に、まず全体を知ろうとすることを心がけるべきだろう。

文=野木

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