『サザエさん』は反オリンピック? 熱気に流されない「国民的アニメ」のあり方

『サザエさん』は反オリンピック? 熱気に流されない「国民的アニメ」のあり方

『サザエさん』は反オリンピック? 熱気に流されない「国民的アニメ」のあり方 (C)PIXTA

7月23日に開幕した『東京2020オリンピック』をめぐって、巷では激しく意見が対立。安易なオリンピックネタに走るメディアも、例外なく議論の的となってきた。だがその一方で、アニメ『サザエさん』(フジテレビ系)は世間の空気に染まることなく、普段と変わらない姿勢を貫いているようだ。

オリンピック開幕に伴い、ここ最近はあらゆるテレビ番組でオリンピックがフィーチャーされている。アニメにおいては、7月17日の『ドラえもん』(テレビ朝日系)にて「ピクトグラム」や「日本で行われるスポーツの世界大会」にまつわるストーリーが展開された。

“オリンピック”という単語は直接出なかったものの、「ピクトグラム」は元々1964年の東京オリンピックを期に採用されたと言われている。また「日本で行われるスポーツの世界大会」というのも、東京オリンピックを指したものだろう。

このあからさまなアピールに、視聴者からは《ドラえもんまでオリンピックに迎合しててつらい》《子どもにまでオリンピックの観戦を強要してるみたいで本当に嫌な気分になった》など非難の声が続出。その一方で「サザエさん」は、今のところオリンピックをもてはやすような様子はなく、いつもと変わらず磯野家の日常が描かれている。

「サザエさん時空」におけるオリンピックの扱い

そもそも「サザエさん」の世界は時間の流れが止まっているため、「東京2020オリンピック」は描けないのではないか…という邪推もありえる。しかし「オリンピック」という概念自体は「サザエさん」の世界にも存在しており、世相を反映したストーリーも展開されてきた。

2019年4月28日に放送された「静かなるゴールデンウィーク」というエピソードでは、会話の中で「2020年の東京オリンピック」の話題がさらっと登場。現実の世界とリンクしているような描写があった。黒電話やブラウン管テレビが現役の世界で最新のオリンピックネタが出たことで、視聴者の多くが《サザエワールドにも2020年がくるのか…》《2020年東京オリンピック? 何時代を生きてるんだ?》とどよめいたほど。

また、「サザエさん」初期の1972年1月には、磯野家が『札幌オリンピック』の観戦に行く「カツオのオリンピック報告」というエピソードも。同年に行われた『ミュンヘンオリンピック』にあやかって、1972年8月には「サザエ ミュンヘンへ行く」も放送されている。

そんな中、絶賛開催中の「東京2020オリンピック」が出てこないのは、作為的なものを感じざるを得ない。あえてオリンピックネタを避けようとする動きが、アニメスタッフ側にあるのだろうか。

世の中のゴタゴタに左右されず、いつもと変わらない暮らしを描き続ける「サザエさん」。同作のあり方こそ、真の国民的アニメと呼ぶにふさわしいのかもしれない。

文=野木

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