『ヒプマイ』になり損ねた? オタクの心をつかめなかった「萌え×ラップ」コンテンツ

『ヒプマイ』になり損ねた? オタクの心をつかめなかった「萌え×ラップ」コンテンツ

『ヒプマイ』になり損ねた? オタクの心をつかめなかった「萌え×ラップ」コンテンツ (C)PIXTA

2015年から2020年にかけて放送された、『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日系)を覚えているだろうか? 同番組によって即興でラップバトルを行う〝フリースタイル〟の文化が浸透し、オタク界隈でも大きな話題を呼んでいた。そんな流行を踏まえ、クリエイターの中にはラップ×萌えという特殊な文化を生み出そうとした者たちもいたようだ。

萌え×ラップという新ジャンルの先駆けとして外せないのが、2017年から『ビッグコミックスピリッツ』で連載された『キャッチャー・イン・ザ・ライム』。同作は〝百合ラップ・コミック〟をキャッチコピーとしており、ラップバトルに打ち込む女子高生たちの青春が描かれている。

主人公の高辻皐月は、高校入学式の日に同級生の2人がラップのパフォーマンスをしているところに遭遇。言葉による自己表現で自分を変えるために「ラップバトル部」の門を叩くというストーリーだ。

設定の新しさだけでなく、「フリースタイルダンジョン」などでも活躍した人気ラッパー・般若や『Creepy Nuts』のR-指定が監修に携わるというコアな作りも話題に。レベルの高いラップバトルが詰め込まれたのだが、一般読者の獲得にはいたらなかったようで、単行本2巻で幕を閉じた。

また2018年には、『昴』などの代表作を持つ人気漫画家・曽田正人が『Change! 和歌のお嬢様、ラップはじめました。』の連載を開始。同作は名門女子高に通うお嬢様・しおりが、和歌で培った言語力を活かし、ラップという新たな世界にチャレンジしていくという設定だ。

こちらはラップだけでなく、ヒップホップ文化にも踏み込んだ内容で、単行本2巻の「外道斬戦」からは人気MCの晋平太がラップバトルの監修を務めた。しかし残念ながら、短命で連載終了を迎えている。

ラップを題材にしたアニメ化の企画も…

こうした漫画が散っていった一方、アニメ化を視野に入れたプロジェクトも生み出された。それが2019年にスタートした『言霊少女プロジェクト』だ。同企画はエイベックス・ピクチャーズの肝いりで、女子高生4人によるバーチャルラップユニットが活動を行った。

企画が始動した際にはバーチャルオーディションが行われ、600名の応募者から4人のメンバーが選抜されることに。しかし選考過程で結果がふるっておらず、決勝で11位だった応募者が「ヴィルヌーヴ 千愛梨」役に抜擢されたことで出来レース疑惑が浮上してしまう。出だしから勢いを失った挙句、2020年1月から配信されたWebアニメ『言霊少女 the Animation -Microphone soul spinners-』はクオリティーの低さによって話題を呼んだ。

ラップユニットなので、せめて楽曲展開が上手くいけばよかったのだが、なぜか作詞・作曲に採用されたのはほぼヒップホップ業界とは無関係な人脈ばかり。物議を醸しながら、わずか2年後の2021年にプロジェクトは幕を閉じた。

女性向けコンテンツとしては、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』が熱狂的な人気を博している最中。もし男性向けでもラップをテーマにした作品がヒットしていれば、状況は大きく変わっていたのかもしれない…。

文=「まいじつエンタ」編集部

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Sergiy Tryapitsyn / PIXTA

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