アニメ『ヒロアカ』海外アニメーターの“神作画”に賛否!「動けばいい」は間違い?

アニメ『ヒロアカ』海外アニメーターの“神作画”に賛否!「動けばいい」は間違い?

『僕のヒーローアカデミア』31巻(堀越耕平/集英社)

現在ツイッター上ではアニメ『僕のヒーローアカデミア』(日本テレビ系)の修正されたレイアウトの映像が出回り、大きな話題に。修正前のレイアウトは海外アニメーターのChansard Vincent氏が担当したそうだが、〝動かしすぎ〟なアニメーションに賛否両論の声があがっている。

現在物議を醸しているのは、8月28日に放送された第109話『再臨祭』に出てくるトガヒミコのアクションシーン。Chansard Vincent氏は制作会社の許可を得て、自身が手掛けたレイアウト段階のアニメーションを投稿したのだが、その映像はまるで劇場版のようなクオリティーで、ぬるぬると動くものだった。

その一方、実際にオンエアされた完成版はだいぶ動きが抑えられており、Chansard Vincent氏の担当シーンはほぼ全面的に修正されているようだ。〝動くアニメーション〟が〝動かないアニメーション〟に修正されたことに、一部の作画オタクは怒りが隠せない模様。ネット上では、《自分はChansard Vincent氏の作画で見たかった》《日本のアニメ衰退の理由が詰まってるな》《修正前と比べると、修正後はほとんど紙芝居じゃん》《最近のアニメってほんと動かないよな、だから見ていてつまらなくなったし見なくなった》《アニメは動かしてなんぼだろ》といった声があがっている。

独断専行に否定的な日本のアニメーター

他方で日本のアニメーターからは、Chansard Vincent氏のレイアウトについて厳しい意見も。たとえば同じく『僕のヒーローアカデミア』5期に参加しているアニメーターのホムラレン氏は、自身のツイッターで《アニメ作品というのはアニメーターが好きかってに動かしていいものではないので、特に絵コンテに描いてない事をやる時は演出さんに確認しようね!》と釘を刺していた。

また「忍たま宇宙大冒険」シリーズの監督などを務めてきた葉摘田緒氏は、《作画で好き勝手に動かすのは後行程に目が向いてない人の特権、と思うことも。動かせば動かすほど後行程の動画・仕上・撮影・制作に過度な負担がかかるということを肌身で感じてしまうと遠慮せざるを得なくなっていく。勿論、理解を得た上ならば問題は無いですが》とツイート。やはりアニメ制作はチームのプロジェクトである以上、独断専行には多くのリスクが付きまとうようだ。

もちろん視聴者側として見れば、そのような裏事情は知ったことではなく、「クオリティーが高くてたくさん動いていれば嬉しい!」というのが素直な意見だろう。そのためChansard Vincent氏のレイアウトが支持されるのも理解できるが、そもそも日本のアニメ業界は潤沢な資金と膨大な制作期間が確保できない業界だ。だからこそリミテッドアニメーションという形態が生み出され、過去の偉大なアニメーターたちは枚数をかけずに動いているように見える〝神作画〟を追求してきた。

そうした縛りによって表現が制限されてしまうことは一長一短ではあるだろうが、「後先考えずに動かせばいい」という考え方を一面的に支持することはできない。ガラパゴス的なアニメ業界の事情を押し付けるのも心苦しいが、海外アニメーターが活躍するには独特のバランス感覚を身につけることが必須と言えそうだ。

文=大上賢一
写真=まいじつエンタ
■『僕のヒーローアカデミア』31巻(堀越耕平/集英社)

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