『ONE PIECE』ゾロの“血筋”も最強… 少年漫画はナゼ血統主義なのか?

『ONE PIECE』ゾロの“血筋”も最強… 少年漫画はナゼ血統主義なのか?

『ONE PIECE』99巻(尾田栄一郎/集英社)

少年漫画を読んでいると、よく目にする物語のテンプレがある。平凡だったはずの主人公が、実は伝説的な人物の血を引いていた…という展開だ。奇想天外なアイデアによって時代を切り拓いてきた人気漫画『ONE PIECE』もまた、こうした「血統の物語」になりつつある。

その疑いが強まったのは、8月30日発売の『週刊少年ジャンプ』に掲載された第1023話「瓜二つ」が原因。このエピソードにて、ゾロの見た目や剣の所作が鈴後の元大名・霜月牛丸にそっくりだと明かされたのだ。さらに牛松はワノ国で“刀神”として崇められる大剣豪・霜月リューマの子孫だという。

これまでゾロの出生については、「シモツキ村」出身ということしか明かされていなかったが、「シモツキ村」は刀鍛冶師の霜月コウ三郎によって作られた村。ゾロが霜月家、すなわちリューマの血を引いている可能性は極めて高い。その場合、鬼神のごとき強さは血筋によって裏付けられていたことになる。

またゾロだけでなく、「ONE PIECE」のメインキャラはほとんどが重要人物の家系。ルフィは革命軍総司令官・ドラゴンの息子であり、海軍の英雄・ガープを祖父にもつ。その他、サンジは「ジェルマ王国」の王族であるヴィンスモーク家の生まれであり、ウソップは「赤髪海賊団」の名狙撃手であるヤソップの息子だった。

少年漫画は「血統の物語」から逃れられない?

「麦わらの一味」が特殊な血筋で構成されていたという事実に、一部の読者は《モンキー、ヴィンスモークに続けて霜月ですか。結局血筋なのね》《ワンピースも結局血統ゲーになってきたか》《ワンピースのメンバーの半分くらいが特別な血筋っぽい可能性が強くなってきて、あーそういう話になるのかーとちょっとだけもやもや》と落胆の色を隠せないようだ。

もちろん「麦わらの一味」の面々が、何の努力もせずに強さを手にしたわけではない。しかし「ONE PIECE」こそ少年漫画の新しい形を見せてくれるのではないか…と期待していたファンにとっては、やはり興ざめなのだろう。

というのも、少年漫画において「血統の物語」から逃れるのは至難の業。ジャンプ漫画に限定しても『ドラゴンボール』『ダイの大冒険』『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』『NARUTO‐ナルト‐』『BLEACH』『テニスの王子様』など、数多の作品に出てくるメインキャラが“特殊な血筋”を受け継いでいる。もちろんそれ自体が悪いわけではないが、テンプレを逸脱した物語を期待する読者がいることも確かだ。

ありふれた血統の人物が、努力や自分で勝ち取ったものだけでのし上がっていく物語は、なぜほとんど生まれないのか。今後、新時代を作る作品が出てくることを期待したい。

文=野木
写真=まいじつエンタ
■『ONE PIECE』99巻(尾田栄一郎/集英社)

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