漫画・アニメの主人公は親ガチャSSR!「なろう系」はジャンプ作品へのアンチテーゼ?

漫画・アニメの主人公は親ガチャSSR!「なろう系」はジャンプ作品へのアンチテーゼ?

漫画・アニメの主人公は親ガチャSSR!「なろう系」はジャンプ作品へのアンチテーゼ? (C)PIXTA

このところ、ネット上で大激論が続いている「親ガチャ」問題。この言葉をめぐり、一部では日本の漫画などに出てくる主人公に対して《親ガチャSSRばかりなのでは?》という説が浮上しているようだ。

「親ガチャ」とは、子どもの立場から親は選べないという考えから生まれた言葉。財産や才能、容姿に至るまで、自身の境遇を親から受け継いだ必然的なものとして捉える考え方だ。ソーシャルゲームのガチャになぞらえて、環境が恵まれている者に対して「親ガチャSSR」と揶揄することもある。

そこで日本の人気漫画に登場する主人公の境遇を振り返ってみると、たしかに恵まれていることが多い。とくに『週刊少年ジャンプ』の連載作品はその傾向が顕著だ。たとえば『NARUTO -ナルト-』のうずまきナルトは落ちこぼれ忍者という設定だったが、実際には四代目火影・波風ミナトというかなり優秀な血筋を受け継いでいた。

また『BLEACH』の黒崎一護は父親が死神であり、なおかつ護廷十三隊の十番隊隊長だったという過去が。母親も純血統の滅却師(クインシー)であり、作中屈指の恵まれた血統となっている。

他にも『ONE PIECE』や『ダイの大冒険』、『HUNTER×HUNTER』など歴代のヒット作で同様の傾向を指摘されている模様。SNS上では《ジャンプ漫画の主人公なんかみんな親ガチャSSRじゃん》《ジャンプのバトル漫画の主人公だいたい親ガチャで最高レア引いてるから》《人生は結局6割親ガチャ2割才能2割運。ジャンプにも古事記にもそう書いてある》などと皮肉る声が上がっていた。

なろう系は“血統主義”と断絶している!?

こうした血統主義が主流となっているのは、ジャンプ作品だけではない。ほとんどの主人公が特別な血筋を引いている『ドラゴンクエスト』シリーズは典型的だが、ゲームなどにおいても血統主義はかなり強い影響力を持っている。

その一方で、こうしたサブカルチャーの伝統において異色の存在と言えるのが「なろう系」だ。現世では平凡だった人間が異世界でのし上がっていくというストーリーが多く、そこでは血筋の有無は大した意味を持たない。人気作品の『Re:ゼロから始める異世界生活』や『転生したらスライムだった件』、『盾の勇者の成り上がり』などにおいても、主人公は後天的に手に入れた能力によって活躍していく。

これまで何かと馬鹿にされてきた「なろう系」だが、「親ガチャ」問題により評価を上げているようだ。ネット上では《なろう系の異世界転生もの、血筋や血統をヒーローに条件付けたジャンプ系へのアンチテーゼでもあると思う》《大体の主人公は何らかの特殊技能持ちか血統に恵まれてるし、なろう系がウケるのは良くわかる》といった声も見られる。

「なろう系」については、その根底に現実に対する諦めの意識があると指摘されてきた。もしかすると熱心なファンたちは、「親ガチャSSR」ではない主人公の活躍に自分を重ね合わせて感情移入しているのかもしれない。今後も世相が変わらないとしたら、日本文化の主流が「なろう系」の方にシフトしていく可能性もありえるだろう…。

文=大上賢一

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