松井優征の最新作『逃げ上手の若君』は期待ハズレ? 賛否が分かれる理由は…

松井優征の最新作『逃げ上手の若君』は期待ハズレ? 賛否が分かれる理由は…

松井優征の最新作『逃げ上手の若君』は期待ハズレ? 賛否が分かれる理由は… (C)PIXTA

『逃げ上手の若君』といえば、トリッキーな作風で知られる人気漫画家・松井優征の最新作。今年1月から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まり、初期には度々話題を呼んでいたものの、最近では「影が薄くなった」という声もあがっているようだ。

同作は鎌倉時代と室町時代の狭間、いわゆる南北朝時代を舞台とした歴史ファンタジー。誰よりも「逃げること」を得意とする北条時行を主人公に据え、怪物のようなカリスマ・足利尊氏との戦いが描かれていく。

もっとも大きな見どころは、一癖も二癖もある登場人物たちの活躍。作者が過去に手掛けてきた『魔人探偵脳噛ネウロ』や『暗殺教室』のように、時には人間離れしているようなキャラクター造形が描き出されている。

しかし現在、ジャンプ読者の間では少々微妙な評価を受けつつある模様。ネット上の声を拾ってみると、《悪くないけど期待外れ》《少年誌だからバトル物として描写しなきゃいけないんだろうなぁってのが伝わってくる》《ガキとおっさんばかりでいつ見ても絵面が汚い》《序盤はよかったけど、正直仲間集めは退屈》《歴史物はオチが決まってるから面白くない》といった声があがっていた。

“歴史漫画”としては高評価? 評価が分かれる原因は…

一部のファンが厳しい評価を付けている理由として、まず考えられるのは「ネウロ」の衝撃が大きすぎたという点。同作は「ジャンプ」では他に類をみないほどの毒気を孕んだ作品であり、いまだに多くの読者から愛されている。その後「暗殺教室」、「逃げ上手の若君」とヒット作を生んでいるものの、「ネウロ」時代の作風を好きだった人々からすれば物足りなく感じてしまうのだろう。

また、「逃げ上手の若君」は歴史漫画であり、作者にとって全く新しい挑戦となっている。「ジャンプ」作品としても珍しいジャンルであるため、なかなか受け入れがたいという読者が多いのかもしれない。

とはいえ、同作は歴史モノとして見ればかなり高い完成度を誇っている。実際に歴史好きの人々には好意的に受け止められているようで、書店によっては同作が歴史漫画のコーナーに並んでいるところもあるという。ちなみに今年8月25日に放送されたテレビ番組『英雄たちの選択』(NHK BSプレミアム)で北条時行が特集された際も、同作が紹介され、大きな注目を集めていた。

振り返ってみれば「ネウロ」や「暗殺教室」も、既存のジャンルから一歩はみ出るような挑戦作だった。「逃げ上手の若君」の物語はまだ始まったばかりなので、評価を定めてしまうのは時期尚早と言えるだろう。この先どんな景色を切り拓いてくれるのか、今後も注目していきたい。

文=野木

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