『週刊少年サンデー』の“改革”は失敗…? 名物編集長による6年3カ月の功績

『週刊少年サンデー』の“改革”は失敗…? 名物編集長による6年3カ月の功績

『週刊少年サンデー』の“改革”は失敗…? 名物編集長による6年3カ月の功績 (C)PIXTA

『週刊少年サンデー』の編集長を務めていた市原武法氏が、10月13日付けで退任。6年3カ月に及ぶ任期を終えることとなった。現在の「サンデー」紙面を作り上げた名物編集長の退任に、ネット上ではさまざまな反響があがっている。

市原氏が編集長に就任したのは、2015年のこと。その際に「サンデー改革宣言」をぶち上げたことはあまりにも有名だ。市原氏が主軸として掲げたのは「生え抜きの新人作家の育成」であり、中堅・ベテラン作家のバランスのよい起用も提唱していた。

改革の内容についてはともかく、「サンデー」の作家たちは市原氏に信頼を寄せていた様子。今回、市原氏が退任したことをツイッターで明かすと、リプライ欄では『ハヤテのごとく!』の畑健二郎や、『結界師』の田辺イエロウ、『天野めぐみはスキだらけ!』のねこぐちなど、数多くの作家から温かい言葉が寄せられていた。

しかしその一方で、読者の中には市原氏に批判的なスタンスをとる人も多い。《編集長退任って要は更迭でしょ?》《うちの近所コンビニ、ほとんどサンデー置かなくなったんだが、サンデー改革は失敗したみたいですね…》《サンデー編集長『サンデー改革します!』→20万部切りwww》といった声があがっている。

批判的な意見をまとめると、市原氏は「改革に失敗したため更迭された」「サンデーの発行部数が激減しているのがその証拠」という風潮があるようだ。しかし、本当に「サンデー改革宣言」は失敗だったのだろうか?

実は歴代2番目の“長期政権”だった!?

そもそも、もし編集長としてふさわしくないのであれば、上層部から早々に異動させられていたはず。しかし市原氏の6年3カ月という在任期間は、「サンデー」歴代編集長の中でも2番目の長さだ。昨年、市原氏は『コミックナタリー』のインタビューにて改革が「8年計画」だったことを明かしていた。だとすると、今回の退任は概ね想定通りの任期だったと言えるだろう。

次に発行部数についてだが、「サンデー改革宣言」が出される直前の2015年4月~6月の発行部数は約39万部。現在の発行部数は約20万部と言われているので、数字だけ見れば激減していることは間違いない。しかし、この時期は紙媒体から電子書籍への移行が顕著な時期だった。『週刊少年ジャンプ』であっても90万部ほどの大幅減を記録しているため、紙の発行部数をもってオワコン扱いするのは間違いだ。

とはいえ、こうした根拠があってもファンが《実感としてサンデーはつまらなくなった》と考えるなら、落ち目と言われても仕方ないかもしれない。しかし、空前の興行収入を挙げた『名探偵コナン』の劇場版『ゼロの執行人』も市原氏が在任中の企画。現在アニメ&実写ドラマが放送中の『古見さんは、コミュ症です。』を発掘したのも市原氏だ。さらにアニメ化の弾として『葬送のフリーレン』を残している今の「サンデー」をもって、《改革に失敗したから退任させられた》というのは無理があるのではないか。

改革後の状況についてあまり知られていなかったこともあり、ネット上では「『サンデー改革宣言』は失敗した!」というキャッチーな見出しが独り歩きしている状況。しかし「サンデー」とともにこの6年余りを歩んだ読者の中には、市原氏の功績を疑うものはいないはずだ。ひとまずは労いの言葉を贈りたい。

文=「まいじつエンタ」編集部

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