スクエニがAI活用に失敗!? 技術デモ版『ポートピア連続殺人事件』に低評価の嵐

スクエニがAI活用に失敗!? 技術デモ版『ポートピア連続殺人事件』に低評価の嵐

スクエニがAI活用に失敗!? 技術デモ版『ポートピア連続殺人事件』に低評価の嵐 (C)PIXTA

スクウェア・エニックスは4月24日、Steamにて『SQUARE ENIX AI Tech Preview:THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE』の無料配信を開始した。往年の名作『ポートピア連続殺人事件』に最先端AIを対応させた“技術デモ”だが、どうやらユーザーからの評価は芳しくないようだ。

AIによって進化した名作ゲーム

「ポートピア連続殺人事件」といえば、『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親・堀井雄二が1983年に開発したアドベンチャーゲーム。主人公が相棒の真野康彦(ヤス)とともに殺人事件の捜査を行うというあらすじで、事件の顛末は“もっとも有名なゲームのネタバレ”としても知られている。

原作はコマンド入力式で物語が展開していくゲームシステムだったが、「THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE」では、そこへAIによる自然言語処理(NLP)の技術を組み込んでいる。つまり、入力された文章とヤスが会話する形で捜査を進行させていく仕組みだ。

ただ、元々はそれに加えて自然言語生成(NLG)機能を搭載し、チャットAIによって雑談会話ができる予定だったという。

しかしAIが「非倫理的な発言」を行う可能性を考慮した結果、削除に至ったそうで、《今後の研究により、プレイヤーのみなさまが安心して楽しめる環境が整った際の提供を予定しております》と説明されている。

肝心のAIが期待外れ? レビューで大不評

流行りのAI技術と往年の名作によるコラボは、リリース前から大きな期待を集めていた。だが、蓋を開けてみるとSteam上のレビューは「非常に不評」と散々なスタートに…。

その理由はNLPの精度が低く、ヤスが決まった単語にしか反応しないことや、NLG機能が未搭載だったことにあるようだ。

期待外れだったAI技術デモに、《現状ただの定型文返すだけのbotでしかない》《正解の文章を入れない限り「えっ?」「うーん」しか言わない コレのどこがAIなのか教えてほしい》《ChatGPTみたいな高性能AIがある今、よくこんな古臭いbotを得意げにAIとか言い張れますね》《ただの人工無能なのでは?》と不満の声が続出している。

なお、最近のゲーム業界では、ほかにもAIを活用した試みが急増中だ。

今年2月にはイラストやBGMなどをAIが手掛けたアドベンチャーゲーム『Traveler – The AI Story』という作品が登場したり、自分好みの女性キャラクターをAIに生成させる恋愛シミュレーションゲーム『AInder』が発表されたりと、活用法は多岐にわたっている。

今後も激しい競争が予想されるが、大手ゲーム会社に関しては、コンプライアンスの都合が付きまとうだろう。今回スクウェア・エニックスが直面した「非倫理的な発言」の問題は、きわめて象徴的だ。

AIの活用法を上手く考えなければ、インディーゲーム界隈に取り残されていくことが予想される。そこでスクウェア・エニックスはどんな未来を提示してくれるだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部

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Koldunova / PIXTA