『幽☆遊☆白書』や『HUNTER×HUNTER』などで知られる漫画家・冨樫義博の展覧会『冨樫義博展 -PUZZLE-』が、10月28日から開催されることが決定。それに伴い、自身の近況を記した直筆メッセージも公開されたのだが、読者の間に大きな衝撃が走っている。
長期休載の末に明かされた衝撃の真相
冨樫は展覧会の開催にあたって、これまで作品を愛読してくれた人々に感謝を表明。その上で、ファンの心理を代弁するかのように、「いや話の続き描けよ」と思われているだろうと率直に切り込んでみせた。
そこで休載の理由として、2年ほど椅子に座ることもままならないほど、腰痛が悪化していたことを告白。あらゆる動作が常人の3~5倍もかかってしまうため、トイレすら一苦労だという。従来のやり方では執筆できないため、現在は姿勢を工夫することで、何とか再開に至ったそうだ。
【#冨樫義博 先生から直筆コメント到着!】
画業35年の節目となる2022年、#冨樫義博展 にどうぞご期待ください。公式サイト▶ https://t.co/cxlbcA57a1 pic.twitter.com/mKkczRCF6l
— 冨樫義博展 -PUZZLE-【公式】 (@Togashi_ex) July 4, 2022
「HUNTER×HUNTER」は2018年11月から、約3年半にわたって歴代最長の休載を更新中。それ以前から度々休載が繰り返されていたこともあり、ファンからはしきりに執筆を催促されていた。
しかし今回、あまりに悲痛な現状が明かされたことで、《ご自愛くださいとしか言えない》《やっぱ休め》《再開はよ、とかもう言いません》と手のひら返しで心配する声が上がっている。
週刊連載の常識を変えるべき?
その一方で、「HUNTER×HUNTER」の完結を何としてでも見届けたいという読者も多く、《無理に作画をやろうとしないで、原作に徹してくれ》《冨樫先生、原作に専念していただいた方がいいのでは…》《そんな状態ならなおさら字ネームだけにして、描くのは他の人に任せた方がいいよ》といった声が。新たに“作画担当”を付けて、安定した連載を行うべきだとする意見が出始めていた。
たしかに数年休んでも回復できない状態である以上、作画は妥協して、原作を担当することが賢明な選択肢ではある。ただ、冨樫は非常にこだわりの強い漫画家として知られており、アシスタント任せの作業も好まない性格。いくら望まれたところで、制作体制の変更は受け入れようとしないかもしれない。
冨樫にかぎらず、日本の漫画業界は1人ですべてを完結させる作業体制が常識となっている。しかし週刊連載でそれを貫くことにはかなりの無理があり、作家としての寿命を削ってしまうケースも少なくない。業界の未来を考えるなら、アメコミや韓国発の「ウェブトゥーン」のように、分業体制を取り入れることも視野に入れるべきだろう。
今後、国内の漫画業界はどのように変わっていくのか。その1つの例として、冨樫や「ジャンプ」編集部の決断には注目が集まりそうだ。
文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ