ファンタジー系ドラマは鬼門? 豪華キャスト揃い踏みも軒並み低視聴率を連発

高畑充希 

高畑充希 画/彩賀ゆう (C)まいじつ 

俳優の高畑充希、田中圭がW主演を務めるドラマ『unknown』(テレビ朝日系)の評判がすこぶる悪い。豪華なキャストを起用し、『おっさんずラブ』の制作陣を集結させても、世間から聞こえてくるのはネガティブな意見が多い。一体、何が視聴者に受け入れられていないのだろうか。

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「unknown」は、週刊誌の記者として働く闇原こころ(高畑)と、交番勤務の警察官・朝田虎松(田中)の愛を描いた本格ラブ・サスペンス。公式サイトでも「究極の愛を問う衝撃作」と紹介されており、一見シリアスなドラマのように見えるが、実はこころの正体は吸血鬼…というファンタジー要素が落とし込まれている。

「第1話の平均世帯視聴率は7.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)と、そこそこの数字を獲得。しかし、第2話で6.1%にダウンし、視聴者離れが浮き彫りになりました。キャストも制作陣も一流の人間が揃っているのに、なぜ面白くないと評価されてしまうのか。それは、おそらくファンタジーやコメディー、さらにはサスペンスなど、さまざまな要素を取り入れ過ぎているからでしょう」(ドラマライター)

先述した通り、同ドラマはあくまで〝ラブ・サスペンス〟。こころと虎松の恋模様を描きつつサスペンス要素もあり、第1話終盤では首筋から血を抜かれた女性の遺体が発見された。ドラマのはじまりにも毎回、血の海に横たわるこころの姿が映し出されている。

だが、ここまでシリアスな雰囲気を演出しておきながら、ヒロインの正体は吸血鬼…。しかも作中では「おっさんずラブ」で共演した田中と吉田鋼太郎が場を和ませる寸劇を披露したり、登場人物たちのやりとりがやたらとコミカルだったりと、シリアスなのかコメディーなのかイマイチわからない状態だ。

そんな中途半端なストーリーが視聴者を困惑させ、ドラマをつまらなくしているのだろう。

ファンタジー系ドラマの成功例といえば…

実は「unknown」のような失敗例は他にもある。

例えば、菜々緒が主演を務めたドラマ『忍者に結婚は難しい』(フジテレビ系)もその一つ。同ドラマは、忍者が隠れて生活している現代を舞台にしており、菜々緒と鈴木伸之は夫婦でありながら、互いに敵対視している忍者の末裔を演じている。

しかし、実際にはそれほど忍者要素は活かされておらず、視聴者からも《忍者設定じゃなければ面白かったのに…》といった意見が上がるほど。ファンタジー要素に振り切れないのであれば、下手に忍者設定を取り入れず、水と油の結婚生活にスポットを当てた方がまだマシだったかもしれない。

2021年に放送された『恋はDeepに』(日本テレビ系)も同じだ。

同ドラマは石原さとみが〝人魚〟という設定で、綾野剛演じるツンデレ御曹司と恋に落ちるストーリー。だが、やはりこちらも人魚設定を活かしきれないまま幕を下ろし、視聴者は《なんで人魚設定にしたの?》《ヒロインが人魚である意味あった?》など、苦言を呈していた。

「とはいえ、ファンタジー要素を武器に一人勝ちしているドラマも…。小芝風花主演の『妖怪シェアハウス』(テレビ朝日系)です。文字通り、作中にはお岩さんや酒呑童子、座敷童子、ぬらりひょんなど、さまざまな妖怪が登場するのですが、そのクオリティーはなかなかのもの。徹底的にメークを施し、完璧な妖怪キャラを作り上げていました。ドラマはテレビ朝日系の土曜ナイトドラマ枠でありながらも、のちに映画化されるほどの人気ぶり。勝因はストーリーと世界観を作り込み、コメディー要素1本に絞ったことでしょう」(同・ライター)

人魚や吸血鬼、忍者など、現実世界ではあり得ない要素を描こうとすると、視聴者はどうしても混乱しがち。ファンタジー要素に振り切り、しっかり世界観を作り込むことがドラマ成功のカギなのかもしれない。

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