Amazonプライム値上げはまだ続く!? 日本が“海外の半額以下”で抑えられている理由

(C)Luis Molinero / Shutterstock

8月10日にAmazonの日本法人が、有料会員サービス「Amazonプライム」の会費値上げを発表した。

「Amazonプライム」は、Amazon発送商品の送料無料や当日配送が利用可能になるほか、動画配信サービス・Prime Videoで見放題作品が視聴可能となるサブスクリプション。

これまで年会費4900円、月額500円でサービスを提供していたが、今回の改訂で年会費5900円、月額600円と値上げされると発表された。

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学生限定のAmazon Studentも、年会費2450円から2950円、月額250円から300円へとそれぞれ値上げされ、8月24日から新料金体系が適用される。

値上げ理由は公式に明かされていないが、電子商取引の物流コスト上昇や、ドライバー不足が懸念される、いわゆる「2024年問題」を見据えてのことだと見られている。

あらゆるモノ・サービスの物価高騰が続く中、ついにAmazonまで値上げに踏み切ったことが大きな話題に。理解を示すユーザーがいる一方で、退会を表明するユーザも見受けられる。

しかし、これでも日本のプライム会費は、主要国に比べると格段に安い現実がある。

他社によっては今後さらなる値上げの余地も?

「本国アメリカのプライム年会費は139ドルと、現在のレートでおよそ2万円。イギリスは95ポンド(約1万7000円)、ドイツも89.9ユーロ(約1万4000円)と、先進国では1万円台半ば~2万ほどが普通です」(経済アナリスト)

日本が低価格の理由は、競合サービスが関係しているとの見方が存在する。

「アメリカでAmazonに対抗できる通販サイトはeBayくらいですが、日本はヨドバシ.comや楽天市場、ヤフーショップなど競合サービスが多い。これらに勝つためには会費を安くして顧客を囲い込む必要がある。そのため、日本のプライム会費が安い理由のひとつだとの見方が存在します」(同)

この仮説に立つと、さらなる値上げの余地があるとも…。

「スポーツ映像配信サービスのDAZNは、昨年2月まで月額1925円という低価格で、ユーザーを囲い込むことに成功。スポーツ配信では一人勝ちの状態で、競合サービスを続々と撤退に追い込みました。

しかし、今年2月に3700円へ値上げし、1年で倍近くの値上げを敢行。これは、価格競争でライバルをなくすことができたため、値上げで利益を上げるタームに入ったため。こう考えると、もし楽天やヤフーといった競合が縮小・撤退するようなことになれば、プライム会費はさらなる値上げを行うかもしれません」(同)

思えば、バーコード決済大手のPayPayも、当初は超赤字覚悟のキャンペーンに加え、手数料無料をうたって店舗に導入を促していた。〝バラマキの後に回収〟は、覇権を取るための常套手段だ。

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