しずかちゃんが性的搾取の被害に!?『ドラえもん』人生ゲームをめぐり大論争

しずかちゃんが性的搾取の被害に!?『ドラえもん』人生ゲームをめぐり大論争

『ドラえもん』1巻(藤子・F・不二雄/小学館)

老若男女問わず、幅広い層に愛されている『ドラえもん』。当然子どもの教育にもいいものと思いがちだが、現在ネット上では同作をもとにした「人生ゲーム」が激しい批判に晒されている。その火種は、しずかの“入浴シーン”にあるようだ。

問題となったのは、タカラトミーから発売されている「ドラえもん 人生ゲーム」という商品。6才以上の子どもが遊べるボードゲームで、内容としては一般的な人生ゲームとなっている。

しかしその中に、「『どこでもドア』を開けたら、しずかちゃんが入浴中!?」というマスが用意されていた模様。お風呂を覗いてしまったことで、しずか役のプレイヤーにゲーム内ポイントを渡すことになる…というイベントだ。

ただでさえ女児の入浴シーンはデリケートな扱いが求められるご時世。さらに「対価としてお金のようなものを渡す」という発想も火に油を注いだらしく、SNS上は《こんなの発売する事がどうかしている。倫理がおかしい。タカラトミー、発売止めた方が良いよ》《子どもの頃からそういう認識を植え付けられたら歪むよね》《人生ゲーム以前に性犯罪をコメディとして描いてるあたりやばい》《ゾッとしますね。企画、現場、監修者、おもちゃメーカー、原作サイド、誰か止めて欲しい》と大荒れしている。

その中には、《ソフト買春奨励路線が子どものゲームにもさらっと含まれてるこの国、本当にヤバい》《売春大国らしい現象ですね》と、問題のマスを“売買春”扱いする人も現れていた。

「ドラえもん」をめぐる表現の自由

しかしその一方で、こうした批判に反発する人々も。とくに現実とフィクションを混同することが疑問視されているようで、《こんなのにも反応しちゃうなんて思春期の中学生かよw 現実と区別がつかない人は生きづらそうだね~w》《玩具ごときで売春とか言ってるお前がやばいだけだから心配すんな》《何でもかんでも性犯罪に結びつけてこの国を壊そうとする輩がいるこの国の現状はヤバいな》といった反論が繰り広げられている。

中には断固としてしずかの入浴シーンを守ろうとする人も。ウソかマコトか分からないが、「タカラトミー」の株主となり、《ツイフェミの話は一切聞く必要が無い》などと提言したことを得意げに語るアカウントが注目を集めていた。

とはいえ、お風呂を覗くことをネタにする感覚が時代遅れになっていることは否定しようがないだろう。昨年には署名サイト「Change.org」上で「#ドラえもんのお風呂シーンのカットを希望します」キャンペーンが行われ、約1万5000人の署名を集めていた。この数字が多いか少ないかはともかく、議論の的となる描写であることは間違いない。

今回の論争には、ツイッター上のフェミニストを標的とする“ミソジニーオタク”も続々参戦しており、誹謗中傷が飛び交っている状況。「ドラえもん」が国民的アニメを名乗るのであれば、無用な争いを避けるよう、価値観をアップデートする必要があるのかもしれない。

文=大上賢一
写真=まいじつエンタ