『ONE PIECE』の元ネタはインド神話!?「Dの一族」や「ラフテル」のモチーフは…

『ONE PIECE』の元ネタはインド神話!?「Dの一族」や「ラフテル」のモチーフは…

『ONE PIECE』102巻(尾田栄一郎/集英社)

壮大かつオリジナリティーあふれる世界観によって、読者たちを魅了してきた漫画『ONE PIECE』。その想像力の源泉について、作者・尾田栄一郎はほとんど語ってこなかったが、ここにきて元ネタが「インド神話」にあるという説が浮上している。

※『ONE PIECE』最新話の内容に触れています

5月9日発売の『週刊少年ジャンプ』23号に掲載された第1048話『二十年』では、ルフィが新技を披露。その名前は、「ゴムゴムの猿神銃(バジュラングガン)」というものだった。

「バジュラング」という名前は、インド神話に登場する猿神・ハヌマーンの別名だという。また、猿神には太陽神の使者としての側面があるため、ニカの能力を持つルフィの技としてピッタリのネーミングと言えるだろう。

そもそも、ルフィ自身にもハヌマーンを思わせるような特徴がいくつもある。ハヌマーンは体の大きさや姿を自由自在に変えられる上、「果物と間違えて太陽を持ってきた」という逸話も、まさにルフィそのものだ。

さらに、ハヌマーンは火神アグニの加護を持っており、火を操ることができる。ルフィがニカの能力に覚醒していない頃から、「火拳銃(レッドホーク)」などの火を伴う技を使えていたのは、この逸話が元ネタになっているのではないだろうか。

そしてルフィといえば、“雷を食らわない”という体質。これは「ゴム」の特性によるものとされてきたが、実際には神話が下敷きとなっている。ハヌマーンは一度雷神インドラに殺されてしまうが、ハヌマーンの父である風神ヴァーユが、それに激怒。神々に対して、不死・強さ・叡智を与えて蘇らせることを要求した結果、ハヌマーンは雷をはじめとしたさまざまな耐性を得ることになった。

ルフィ=ハヌマーン説に立てば、ルフィは神の加護によって雷から守られていることになる。また、ルフィの父であるモンキー・D・ドラゴンは風に関係する能力者だと考えられているが、それも風神ヴァーユをモデルにしているからなのだろう。

作中の世界はインド神話モチーフ?

ルフィだけでなく、「ONE PIECE」の舞台である世界そのものがインド神話をモチーフにしている可能性もあるという。

ご存じの通り、作中では「Dの一族」とそれを危険視する「世界政府」の対立構図が描かれてきた。そして奇遇にも、インド神話では神々が「ディーヴァ神族」と「アスラ神族」の2つに分かれているのだ。ディーヴァ(deva)のスペルを考えると、「Dの一族」のモチーフとなっている可能性は大いにある。

また、「ONE PIECE」ではストーリー上の重要な存在として、「ゾウ」こと象主(ズニーシャ)が登場していた。これは名前や設定からして、インド神話における象の神・ガネーシャと対応したものではないだろうか。

さらに「偉大なる航路」の最終地点である「ラフテル」についても、元ネタを発見できる。かつてインドは「天竺」と呼ばれ、世界の果てだと考えられていたからだ。

ちなみに、2007年に発売された雑誌『ONE PIECE 10th Treasures』では、尾田とルフィ役の声優・田中真弓が対談。アニメ化に際し、尾田はルフィ役を「パズーの声の人がいい」と希望していたという。パズーといえば『天空の城ラピュタ』の登場人物だが、同作はインドの叙事詩『ラーマーヤナ』をモチーフにしているとも言われている。

こうしてまとめてみると、偶然にしてはあまりに共通点が多い。いつか作者が“種明かし”する日は来るのだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ