実写版『幽☆遊☆白書』爆死確定? 桑原のキャスティングが“逆にアウト”な理由

実写版『幽☆遊☆白書』爆死確定? 桑原のキャスティングが“逆にアウト”な理由

実写版『幽☆遊☆白書』爆死確定? 桑原のキャスティングが“逆にアウト”な理由 (C)PIXTA

漫画原作の実写化で鬼門となるのは、何よりもキャスティングの問題だろう。先日発表されたNetflix版『幽☆遊☆白書』に関しても、激しい議論が巻き起こっていた。しかし世間で取り沙汰されているのとは別に、桑原和真役のキャストは、とある問題点を孕んでいるようだ。

フツメンキャラにイケメンを抜擢

「幽☆遊☆白書」の桑原といえば、イケメンぞろいの主人公パーティーにおいて、唯一の“凡人”ビジュアル。ヤンキーらしい強面で、非モテキャラのような扱いを受けていた。

しかし新たに制作されるNetflix版「幽☆遊☆白書」では、桑原役として俳優の上杉柊平を起用。過去には写真集も刊行されたことがあるイケメン俳優であり、今回公開されたビジュアルもモデルのような雰囲気だった。さらに桑原の特徴である時代錯誤なリーゼントヘアも、現代的なヘアスタイルへと変更されている。

その姿を見た原作ファンからは、《いや桑原をイケメンにするのはダメだろ…》《桑原にイケメン俳優を起用するとか…流石に擁護できん》《桑原はブサイクだけど中身イケメンだから良いんだよ…これだから実写は》といった声が上がっていた。

また、原作のイメージを尊重するかどうかという話とは別に、問題はいわゆる「ポリコレ」議論にも関わってくる。凡人ビジュアルのキャラクターに、イケメンを抜擢することは、“政治的に正しくない”からだ。

世界のトレンドは「ルッキズム」にあり

あまり耳馴染みがないかもしれないが、近年では「ルッキズム」を見直す考え方が広まっている。「ルッキズム」とは人間の見た目にもとづいた差別であり、外見的な魅力の有無によって社会から優遇されたり、蔑視を受けたりすることを指す。

エンタメ業界でもさまざまな方面で見られる動きで、たとえば海外ゲームの『Horizon Forbidden West』などが、代表的な例として挙げられている。女性キャラの美しさを抑え、自然なビジュアルにしていることが、注目を浴びたのだ。海外においては、実写の現場でもその事情は変わらない。

そう考えると、「幽☆遊☆白書」の桑原をめぐるキャスティングには、ルッキズム信仰を感じてしまう部分がある。とくにNetflixはドラマなどの制作現場からセクハラを徹底的に排除することを標榜しており、「ポリコレ」の本丸とも言える媒体。そこで桑原が無神経に“イケメン化”されてしまったことは、いささか残念だ。

「ポリコレ」配慮という建前と、フツメンの尊厳を損なうようなキャスティング。2つマルをつけるようなどっちつかずの態度こそが、オトナのやり方ということだろうか…。

文=富岳良

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Khosro / PIXTA