『ジャンプ+』にも“なろう系”の波!?「パーティー追放モノ」新連載に猛反発の声

『ジャンプ+』にも“なろう系”の波!?「パーティー追放モノ」新連載に猛反発の声

『ジャンプ+』にも“なろう系”の波!?「パーティー追放モノ」新連載に猛反発の声 (C)PIXTA

『SPY×FAMILY』の大ヒットにとどまらず、次々と人気連載を生み出しているWeb漫画アプリ『少年ジャンプ+』。漫画好きからの注目も高まっている中、新連載としていわゆる“なろう系”の作品が始まったことで、大きな波紋を呼んでいる。

日曜日の新連載に物議

物議を醸しているのは、『僕の武器は攻撃力1の針しかない』という日曜日の新連載作品だ。

舞台設定は、よくあるゲーム系のファンタジー世界。勇者パーティーの一員だった主人公だが、パーティーメンバーの策略により、装備を奪われて追い出されてしまう。さらに悪徳道具屋に騙され、“攻撃力1”の針と全財産を交換。人生に絶望しかけるも、その針と共に新たな旅に出発する──。

中世ファンタジー風でありながら、ステータスなどのゲーム要素が出てくるのは、いわゆる「なろう系」ファンタジー作品のお約束。さらに仲間たちに追いやられた主人公が、その後出世していくという流れは、最近流行りの「パーティー追放モノ」に当てはまる。

そう考えると売れ線ドンピシャの作品と言えるのだが、問題は同作が少年漫画界を牽引する「ジャンプ+」に掲載されたこと。ネット上では激しい拒絶反応が巻き起こっており、《なろう系はジャンプに来るべきじゃない》《ジャンプ+で思いっきりなろうテンプレが連載し始めて流石にドン引きしてる》《中身はまんまなろう、ジャンプでやることではない》といった批判が溢れていた。

どうやら「ジャンプ+」の読者たちは、親の仇のようになろう系を憎んでいるようで、コメント欄は大荒れしている。

叩いているのはオッサンだけ…?

しかしそんなプチ炎上状態にもかかわらず、アプリ内で公表されている曜日別のランキングでは、同作が1位を獲得。PV数は約80万に達しており、2位と10万差をつけている。

昨今のアニメ・漫画業界にはなろう系作品が溢れており、市場的に需要があることは確か。むしろ拒否反応を示しているのは、「ジャンプ」を読んで育った中高年世代だけで、若年層には好意的に受け止められているのかもしれない。

実際に、ほかの少年漫画雑誌では、なろう系やそれに類する作品が次々と頭角を現している。たとえば『週刊少年マガジン』では、『小説家になろう』の人気作をコミカライズした『シャングリラ・フロンティア』が次代のエースというべきポジションに収まっている。ジャンプ系列になろう系の波が押し寄せるのも、時間の問題だっただろう。

なお、「僕の武器は攻撃力1の針しかない」はプロトタイプが「ジャンプルーキー!」で連載され、その人気から作画担当が付いて「ジャンプ+」での連載化に至ったようだ。すでに「ジャンプルーキー!」でストーリーを知っているファンからは、《導入はなろう系だけど、ちゃんとジャンプしてる作品》《なろう系のテンプレ出だしだけど、実はちゃんとおもろい作品》とも評価されている。

「なろう系」のテンプレを使っているからといって、条件反射で叩くのは漫画読みとしてマナー違反。まずは偏見をもたず、作品に触れてみるべきではないだろうか。

文=Tら

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Veres Production / PIXTA