ジャンプ特有の性差別!?“最強の女”が噛ませ犬になる『ワンピ』『呪術』『ヒロアカ』

ジャンプ特有の性差別!?“最強の女”が噛ませ犬になる『ワンピ』『呪術』『ヒロアカ』

ジャンプ特有の性差別!?“最強の女”が噛ませ犬になる『ワンピ』『呪術』『ヒロアカ』 (C)PIXTA

昭和が終わってからおよそ34年が経ち、今時ではバトル漫画でも女性キャラクターが活躍する機会が増えてきた。その風潮は『週刊少年ジャンプ』にも存在するものの、「女性キャラは最強になれない」という“見えない天井”が残っているようだ。

※『呪術』『ヒロアカ』『SAKAMOTO DAYS』の展開に触れています

ここ最近、「ジャンプ」における女性キャラの受難がさまざまな人気漫画で示されている。

たとえば『呪術廻戦』では、最強格の女性キャラとして九十九由基という人物に注目が集まることに。彼女は特級呪術師では唯一の女性であり、五条悟や乙骨憂太と並ぶほどの扱いを受けていた。

そして初の戦闘シーンとして、現在ラスボス候補となっている羂索と対戦。特級呪術師の肩書きにふさわしい実力を見せたものの、最終的にはあっさり敗北してしまい、読者たちを落胆させている。

また『僕のヒーローアカデミア』では、アメリカのNo.1プロヒーローとして、スターアンドストライプという女性が登場。その実力はオールマイトに匹敵するほどで、“現役最強”とも評価されていたのだが、死柄木弔との戦いで負けてしまった。

また『SAKAMOTO DAYS』でも、似たような展開が描かれている。殺し屋養成機関「JCC」をめぐるエピソードにて、最強の女性教師と謳われる佐藤田という人物が登場。坂本太郎も一目置くほどの実力をもち、それなりに戦闘シーンもあったが、生徒を人質にとられて命を落としている。

“最強キャラ”にはなれず噛ませ犬に…

さらにいえば、『ONE PIECE』に登場する元四皇、ビッグ・マムもこうした女性キャラの系譜に加えられるかもしれない。

彼女はカイドウと並ぶ驚異の実力者として、散々作中で暴れまわった。しかしカイドウが主人公のルフィとマッチアップするのに対して、「麦わらの一味」でもないルーキー2人に敗北する最期を迎えている。

戦闘シーン自体、カイドウ戦のオマケのような扱いで、読者からも《マムの最期なんか悲しいな》と哀れまれていた。

振り返ってみれば、「ONE PIECE」ではカイドウ、「呪術廻戦」では五条悟、「ヒロアカ」ではオールマイトと、結局のところ“最強キャラ”の座に君臨するのは男性ばかり。「少年漫画だから」と言われてしまえばそこまでだが、いくら強者のように描かれても、女性キャラはかませ犬として退場していくことが多い。

もちろん、すべての漫画がその傾向にあるわけではない。近年では『チェンソーマン』が“強い女性”の描写を成功させていた。また1996年から連載された名作『封神演義』でも、妲己という革命的な女性キャラが生まれている。

といってもあくまでこれらは例外的な作品であり、大勢としては“男性一強”の世界観が支持されてきた。いつか新時代はやってくるのだろうか。

文=野木

【画像】

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