クラピカ死亡の可能性も…『HUNTER×HUNTER クラピカ追憶編』が意味するもの

クラピカ死亡の可能性も…『HUNTER×HUNTER クラピカ追憶編』が意味するもの

『HUNTER×HUNTER』37巻(冨樫義博/集英社)

『HUNTER×HUNTER』における幻のエピソードを収録した『HUNTER×HUNTER クラピカ追憶編』が、7月4日からKindleストアなどで販売されている。

ファンの間で大きな盛り上がりを見せているが、重要なのは「なぜ今このタイミングで発売されたのか」ということだ。

※『クラピカ追憶編』の内容に触れています

同エピソードは元々『週刊少年ジャンプ』2013年1号・2号に読み切りとして掲載され、その後『劇場版 HUNTER×HUNTER 緋色の幻影』の来場者特典である“0巻”に収録された。

ストーリーとしては、少年時代のクラピカを主人公として、緋の眼をもつクルタ族に起きた出来事を描いたもの。

昨年10月から「ジャンプ」本誌で掲載されていた本編の内容も、この「クラピカ追憶編」と密接に関わるものだった。そこでは幻影旅団の過去編として、クロロたちが流星街で過ごした子ども時代に光が当たっており、シーラという仲間がいたことも明かされている。

「クラピカ追憶編」ではそのシーラがかつてのクラピカに接触し、外の世界への憧れを植え付けたことが描かれていた。クルタ族を滅ぼしたのが幻影旅団とされていることからも、この2つのエピソードには強い関連性があるのだろう。

クラピカの未来を予告していた?

なお、「ジャンプ」本誌に「クラピカ追憶編」が掲載された際、冨樫義博は巻末コメントでレコードの「B面」にあたる話があると語っていた。

「A面」にあたるエピソードがクラピカ視点でクルタ族滅亡を描いたものである以上、「B面」は“加害者”の視点で、この出来事を描いたものになりそうだ。実はクルタ族の惨劇は幻影旅団が主犯ではなく、別の者たちが関わっていたという説もあるため、その種明かしのような話が存在するのかもしれない。

ちょうど本編では、幻影旅団に焦点が当たっているタイミングだ。今「クラピカ追憶編」が電子書籍化されたのは、本編の連載が再開された際に「B面」が描かれるという予告の意図があるのではないだろうか。

さらに電子書籍版の「クラピカ追憶編」では、単行本0巻にあった冨樫によるインタビューがカットされている。そこで冨樫はクラピカと幻影旅団の今後について、「全員死にます」と全滅を仄めかしていた。

王位継承編ではクラピカと幻影旅団、そしてヒソカが同じ船に乗り込んでおり、いつ死闘が始まってもおかしくない状況。今後の展開のネタバレになってしまうため、冨樫の発言が収録されなかった…と考えるのは踏み込みすぎだろうか。

クルタ族の惨劇にどんな真相が隠されているのか、そしてクラピカと幻影旅団は本当に退場するのか…。ますます連載再開に期待が高まってしまう。

文=猿田虫彦
写真=まいじつエンタ