『海猿』原作・佐藤秀峰、テレビ局との映像化トラブルを語る「作品が自分の手から奪われていく感覚」

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『海猿』などを手掛けた漫画家の佐藤秀峰氏が2月2日、noteを更新。日本テレビ系でドラマ化された『セクシー田中さん』の原作者・芦原妃名子さんの急死に言及し、テレビ局や出版社に苦言を呈した。

1月29日、芦原さんは栃木県日光市内のダムで死亡しているのが発見された。警視庁は自殺と見て調査されている。芦原さんは生前、ドラマ化を巡り制作サイドとトラブルになっていたと話題になっていた。

この報道を受け、佐藤氏は『死ぬほど嫌でした』とのタイトルで記事をアップし、「ここ数日、当時の出来事がフラッシュバックしています」と苦しみを綴り、『海猿』の映像化を巡る自身の経験を告白した。

佐藤氏によると、漫画家は通常、出版社と契約を結び、出版社が独占的に作品を運用するという。出版社は映像化など作品の運用に当たり漫画家に報告し、都度許諾を取るよう契約書に書かれていたものの、この約束が守られることはなかったと明かしている。

「映像関係者には一人も会いませんでした」という佐藤氏は、自分の意向を無視する形で映画製作が進められ、「作品が自分の手から奪われていく感覚」を味わったと述べている。映像化された作品をDVDで見て「クソ映画でした」とバッサリ斬った佐藤氏は、その後自分の感情を殺し、映像作品に一切文句を言わなくなったという。

テレビ局と出版社の間で映像化が進んでいく中、佐藤氏が『海猿』の唯一の原作者であるにもかかわらず、「原作者」を名乗るものが現れ、映画の続編の脚本を書くと宣言。これに耐えきれなかった佐藤氏は初めて、原作者としての権利を行使し、続編製作を拒否したという。この後『海猿』が映像化されることはなくなったが、佐藤氏は「死ね」などと世間から批判を浴びたと明かしている。

この記事にX(旧Twitter)では「『海猿の原作者が現れました』の所は何度読み返しても理解できないし怖すぎる」「これ、ほとんどの原作者は思ってても言えないんだろうな」といった声が漏れていた。

参考:佐藤秀峰のnote