『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』は本当にクソゲーなのか…“ゲームだと思わない”と評価が逆転?

『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』は本当にクソゲーなのか…“ゲームだと思わない”と評価が逆転?

『鬼滅の刃』1巻(吾峠呼世晴/集英社)

『週刊少年ジャンプ』を代表するヒット作として、老若男女から愛されている『鬼滅の刃』。昨年10月には待望のゲーム化を果たしたが、ネット上では《クソゲー》との呼び声も高い。果たしてその評価は妥当なのか、客観的に検証してみよう。

ゲーム『鬼滅の刃 ヒノカミ血風譚』は、アニメ「鬼滅の刃」で描かれた物語を、プレイヤーに追体験させてくれるアクションゲーム。炭治郎をメインに操るソロプレイモードのほか、さまざまなキャラクターで戦えるバーサスモードも用意されている。

開発を担当したのは、“伝説のクソゲー”と名高い『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』を手掛けた「サイバーコネクトツー」。その悪評を引きずっているためか、ネット上では「ヒノカミ血風譚」についても《全手抜き! 手抜きの呼吸!》《ゲームとしては微妙》《近年まれにみる虚無ゲーだと思う》などと酷評されてしまっていた。

しかし、そんな風評を鵜呑みにしていいものだろうか。たとえば同作では老若男女のファン層に配慮するためか、操作が分かりやすく、イージーなゲーム性になっている。ゲーム初心者がやりがちな、いわゆる「バッタ戦法」でもそこそこ進められるのが美点と言えるだろう。もちろんコアなゲーム好きにとっては、それこそが“クソゲー要素”なのだが…。

「ゲームだと思わない」ことで評価が逆転

実際のところ同作の面白さは、ゲーム性以外の部分にある。まず原作ファンにとってたまらないのが、録り下ろしボイスを聴ける演出の数々。ゲーム内でとあるアイテムを集めると、紙芝居のようにアニメのワンシーンを見られるのだ。

さらに激推ししたいのは、ストーリーモードでプレイ中に猗窩座が登場する直前。あえて詳しく触れないでおくが、鬼を目にして“背筋が凍る”という体験を、身をもって体感させられてしまうだろう。

また、原作の追体験という面でもさまざま工夫が凝らされている。なにより驚かされるのは、炭治郎の“長男ムーブ”を体験させてくれるシーンだ。厭夢に見せられた夢の中で、プレイヤーは炭治郎を操り、風呂用の「水汲み」を行うことになる。

ムービーを見ていると、突然両手に桶を持った炭治郎の後ろ姿が登場。画面上のタスクには、「水を汲みに行け」という指示が出てくる。本当にこの動作が必要なのかと疑問が湧いてくるが、妹たちが「おにいちゃん、はやくはやく!」と急かしてくるので、行動しないわけにもいかない。ややシュールな演出ではあるが、炭治郎の気持ちに寄り添いたいファンにはたまらないはずだ。

格闘ゲームとしての出来は確かに低いかもしれないが、原作のおまけとしてはこれ以上ないクオリティー。家族や友達と一緒にツッコミながらプレイしてみてはいかがだろうか。

文=「まいじつエンタ」編集部
写真=まいじつエンタ