『ジャンプ+』の看板作品として、国内外の読者に支持されているバトル漫画『怪獣8号』。だが、最近ではその勢いに陰りが出ているようで、無情な“ランキング結果”に注目が集まっている。
人気がランキング化された功罪
「怪獣8号」は、とある事故から怪獣の力を手に入れた主人公が、人類を守るために奮闘するというストーリー。2020年におけるコミックス第1巻の年間売上ランキングで1位を記録するなど、破竹の勢いを見せていた。
しかし、連載開始から1年を越える頃から、その勢いは次第に失速していく。序盤にあった主人公の痛快なバトルは鳴りを潜め、読者のヘイトを集める敵キャラ・怪獣9号をめぐる展開に非難が殺到。ファンの間で激しい賛否両論が巻き起こっている。
その結果が現れたのが、「ジャンプ+」で曜日ごとに公開されている閲覧数ランキング。これまで「怪獣8号」は金曜日の1位を独占してきたのだが、2月18日のランキングでは、タイザン5の『タコピーの原罪』にトップを奪われてしまった。しかもその閲覧数は、80万近い差をつけられている。
意外な逆転劇に、ネット上では《怪獣8号に勝った! タコピー鬼つええええ!》《タコピーが怪獣8号を完全に上回っててもはや笑うしかない》《ついにタコピーが怪獣8号の閲覧数を超えてしまった…タコピー面白いし最近の怪8の展開とか周りの反応みてたら理解できるんだけど、怪獣8号をずっと応援していたから悲しいな》とさまざまな反響が上がっている。
なぜ大差がついたのか…?
「タコピーの原罪」は、とある少女と不思議な宇宙人の出会いと、残酷な人間ドラマを描いた作品。ポップな絵柄とは裏腹に、次々と繰り出される陰鬱なストーリーがSNSを中心に話題沸騰し、毎話200万を超える閲覧数を記録している。
テンポよくショッキングな物語が描かれていくため、50話を越えて展開が停滞し始めた「怪獣8号」と比べて新鮮な印象で受け止められているのだろう。
実のところ「怪獣8号」は約1カ月の連載休止を経て、かなり評価が回復しつつある。しかしその最中で「タコピーの原罪」が注目を集めてしまったことで、《今週の怪獣結構良かったぞ でもタコピーが衝撃展開過ぎた》《怪獣は全部薄いんや タコピーは濃い》《タコピーみたいに先が気になる漫画ええよな 怪獣8号は今回悪くないけどどっかで見たような展開だしずっとテンプレみたいな漫画》と不条理にも影が薄くなっている印象だ。
なお、「タコピーの原罪」は短期連載と告知されており、おそらくストーリーはクライマックスが近い。「怪獣8号」の時代がふたたび戻ってくることは間違いないので、ここから右肩上がりのストーリーとなることを期待したい。
文=野木
写真=まいじつエンタ