『ワールドトリガー』の秘密を明らかに! 葦原大介が公開した「マンガ術」がすごい

『ワールドトリガー』の秘密を明らかに! 葦原大介が公開した「マンガ術」がすごい

『ワールドトリガー』24巻(葦原大介/集英社)

アニメ化もされた大人気のSFバトルアクション漫画『ワールドトリガー』。その作者である葦原大介が、自身の「マンガ術」を公開したことが大きな話題を呼んでいる。一体彼の創作には、どのようなテクニックが秘められているのだろうか。

『ワートリ』作者による「世界観」論

葦原の創作論が掲載されたのは、『ジャンプSQ.』5月号に掲載された企画ページ『漫画道場』。これは同雑誌の『新人漫画賞 SPARK』に投稿した人に向けて、連載作家陣が自身の漫画術をレクチャーするというものだ。

そこで葦原は、現在連載中の「ワールドトリガー」でも使っているテクニックについて解説。「今、その設定(説明)は必要か?」「読者がそれに興味を持てているか?」という部分に注意していることを語っていた。

より具体的には、現在描いているシーンと関係のない設定は出さないようにするのが重要とのこと。また、設定を開示する前に、あらかじめ読者が興味を持てるように“前振り”しておくことや、読者目線になって質問してくれるキャラクターを用意することも必要だという。

さらに特集ページでは、実際に「ワールドトリガー」を実例とした解説も。その内容は「ジャンプSQ.編集部」のツイッターでも公開されており、ネット上では《無茶苦茶勉強になります!》《めっちゃ興味惹かれる内容。すべての創作物に言えそう》《これは創作に悩める全員が読むべきバイブル》と称賛の声が巻き起こっている。

なぜ「ワールドトリガー」は面白いのか

その一方で、葦原の明かしたテクニックから「ワールドトリガー」の魅力を分析する人も。《ワールドトリガーが設定凝ってるわりにそこまで混乱しないのはこのためか》《これすごいなぁ…ワールドトリガー読んでて全部思い当たるし、これが面白さの秘訣だったのか!ってなった》《ワートリくんの好きなところが作者によって明確に言語化された》といった反応が上がっていた。

「ワールドトリガー」といえば、膨大かつ複雑に入り組んだ設定があることでお馴染み。個性豊かなキャラクターたちが「トリガー」という武器を使い、長期にわたる「ランク戦」を繰り広げている。

しかし葦原が明かしたように、その設定の明かし方にはさまざまな工夫が凝らされていた。修のトリガーが第1話から登場しているにもかかわらず、その詳細が明かされたのはずっと後のこと。同じく第1話から空閑遊真の「つまんない嘘つくね」という口癖が描かれていたが、これも後の伏線となっていた。そうしたテクニックによって、複雑な設定を読者に飲み込ませることに成功しているのだろう。

葦原の創作論から読み取れるのは、ひたすら読者の立場から考えるということ。こうした細やかな気遣いこそが、『ワールドトリガー』が名作となった秘密なのかもしれない。

文=Tら
写真=まいじつエンタ