『チェンソーマン』第2部への布石? 藤本タツキ新作読み切りで考察厨に皮肉…

『チェンソーマン』第2部への布石? 藤本タツキ新作読み切りで考察厨に皮肉…

『チェンソーマン』第2部への布石? 藤本タツキ新作読み切りで考察厨に皮肉… (C)PIXTA

『チェンソーマン』や『ルックバック』などのヒット作で知られる漫画家・藤本タツキ。なにかと作品の深みを感じ取り、考察を繰り広げる人が多い藤本作品だが、そんな風潮に作者は思うところがあったのかもしれない。7月4日に発表された新作読み切り『フツーに聞いてくれ』は、明らかに“考察厨”を意識したストーリーとなっていた。

※『フツーに聞いてくれ』の内容に触れています

同作は藤本が原作を手掛け、作画を『にくをはぐ』の遠田おとが担当するという布陣。表向きは、男子高校生の空回りする恋心に端を発したユニークな青春漫画だ。

物語のあらすじとしては、主人公の男子高校生が好きな女子に告白するため、YouTubeにオリジナルソングをアップロード。その動画が拡散され、笑いものになってしまう。しかしそれだけでは終わらず、なぜか自分の意図していなかった“深いメッセージ”が次々と発見され、ついには世界規模の話題作へ…というものだ。

たんなるコメディ的な展開にも見えるのだが、重要なのは原作が藤本である点。明示してあることの裏の裏まで読み取ろうとする作中の考察勢たちは、まるで現実の読者を参考にしたかのようだ。

そこから、藤本が考察勢にウンザリしているという見方も生まれたようで、《藤本センセはファンの熱狂ぶりがあんま嬉しくないんかしら》《タツキ、考察厨がそんな好きじゃない…?》《メタ的には考察厨を皮肉ってるのかな?》《考察勢にオモチャにされてるのが嫌なんだろう》などと憶測されている。

考察で大盛り上がりだった藤本作品

読者をざわつかせているのは、「フツーに聞いてくれ」の細かい描写も原因ではあるだろう。たとえば作中では、男子高校生の動画から、「アメリカの銃社会への批判」や「太陽の象徴」といった大仰な考察を繰り広げる人が出現していた。

実はこれらは、実際に「チェンソーマン」連載中に飛び交っていた考察そのもの。「銃の悪魔」をめぐる描写でアメリカが絡んでおり、支配と自由の対立構造をベースとしていたことから、社会風刺の一種ではないかと囁かれていた。また、「チェンソーマン」の世界では「太陽」がすでに消滅しているという説も、コアな考察勢の間で大流行していたという。

偶然の可能性もないとは言い切れないが、藤本自身がこうした考察を知っており、あえてネタにしたとも考えたくなってしまう。また「チェンソーマン」に関してはたんなるエンタメだったが、その後に発表した「ルックバック」は、よりシリアスな考察が過熱していた。

ただ、もし藤本が考察にウンザリしていたとしても、それを作品でアピールするとは思えないことも事実だろう。「フツーに聞いてくれ」から作者のメッセージを読み取ろうとすることもまた深読みであり、本当に必要なのは作品を“フツー”に読もうとする姿勢なのかもしれない。

文=「まいじつエンタ」編集部

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