映画『ゆるキャン△』は社畜の物語? ブラックすぎる労働描写に悲鳴「やりがい搾取アニメ」

映画『ゆるキャン△』は社畜の物語? ブラックすぎる労働描写に悲鳴「やりがい搾取アニメ」

映画『ゆるキャン△』は社畜の物語? ブラックすぎる労働描写に悲鳴「やりがい搾取アニメ」 (C)PIXTA

一大キャンプブームを引き起こした『ゆるキャン△』の劇場版が、7月1日から公開されている。女子高生のほのぼのキャンプがメインだった原作とは打って変わって、映画では“闇が深い”現実を見せつけられることが話題を呼んでいる。

※映画『ゆるキャン』の内容に触れています

映画で描かれているのは、本編から数年が経ち、大人になった志摩リンたちが就職した姿。ひょんなことからキャンプ場開発を任されることになり、散り散りだった「野外活動サークル」の5人が再集結する。

リンたちの社会人になっても変わらない友情や、学生時代から変わらずキャンプを満喫する様子が楽しめる内容。だが、よく見れば現実にもありそうな社会の闇が見え隠れするという。

というのもキャンプ場開発は、山梨県主導の事業という設定。しかし、大垣千明を除く4人は役所勤務でも専門職でもなく、無関係の職に就いている。にもかかわらず、休日返上でボランティアとして協力することに。さらには開発のために東京、横浜、名古屋から山梨に通う面々には、交通費が払われていないという疑惑も。

これに気づいたファンからは、《元女子高生の20代半ばの女子がタダ働きでやりがい搾取されるアニメ》《しまりんやなでしこが毎回名古屋や東京から集まってきて、ずっとタダ働きなの?》《労災保険関係はどうなるのだろう》《山梨県の労働力搾取だった。ガソリン代くらい出てるんだよな…?》と疑問の声が上がっていた。

月月火水木金金のブラック尽くし

さらにファンを驚かせたのが、「野クル」メンバーの大半がブラックな仕事に従事している事実。犬山あおいは小学校教師だが、土曜も業務に励む様子が描かれた。また、キャンプ場開発を進める千明の仕事も、友人の手を借りなければならないほど予算がひっ迫しているのかと邪推させる。

中でも最大の社畜っぷりを発揮したのが、名古屋の出版社に勤めているリン。土日はおろか、年末年始の出勤も当たり前。忙しすぎて終電での帰宅が日常茶飯事だという。そしてキャンプ場開発が始まると、片道4時間かけてバイクで山梨・名古屋間を往復していた。

いくら自発的とはいえ、人間としてのキャパシティを超えるような労働量に、《リンちゃんが倒れるんじゃないかとヒヤヒヤしてしまったよ》《リンちゃんの過労死が心配》と動揺するファンも少なくない。

“普通に働く”ことが贅沢な生き方になっている現代、映画「ゆるキャン」はある意味では現代社会をリアルに写し取っているのかもしれない。女子高生時代の、のびのびとした空気は薄れているが、それもまた5人の人生として温かく見守ってあげてほしい。

文=野木

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