古代兵器プルトン=戦艦大和!?『ONE PIECE』に頻出する敗戦国・日本のメタファー

古代兵器プルトン=戦艦大和!?『ONE PIECE』に頻出する敗戦国・日本のメタファー

『ONE PIECE』102巻(尾田栄一郎/集英社)

『ONE PIECE』の世界において、ひときわ謎に包まれている3つの古代兵器の存在。8月1日発売の『週刊少年ジャンプ』35号に掲載された最新話では、そのうちの1つ「プルトン」の所在が明らかとなったが、ネット上ではあらためて考察が盛り上がっている。

※『ワンピース』最新話の内容に触れています

「プルトン」は、原作にてその名が最も早く登場した古代兵器。古くは「アラバスタ編」にてクロコダイルの口から名前が明かされ、「ウォーターセブン編」では諜報機関「CP9」のロブ・ルッチが言及。その設計図について触れ、「世界最悪の戦艦」と発言していた。

そんな匂わせが後を絶たなかった謎の兵器だが、第1055話『新時代』にてついに所在が語られることに。実は現在のワノ国は800年前にあった国とは別物であり、かつてのワノ国は水の底に水没していた。そして沈んだ水の先に、「プルトン」が眠っているという。

驚くべき情報だったが、ここから一部の読者たちはとある考察を膨らませている。かつて海底に沈められた「戦艦」という設定から、第二次大戦中に活躍した大和型戦艦の1番艦、通称「戦艦大和」の名前が浮上したのだ。

「戦艦大和」は1945年4月に水没し、今も海底に眠っているので、状況としてはほとんど同じ。またワノ国が日本をモチーフにしていることも、プルトン=戦艦大和説の根拠になるだろう。なにより尾田は九州出身なので、「戦艦大和」が同じ九州の鹿児島県・坊ノ岬沖に眠っていることに、何らかの思い入れがあったのではないだろうか。

ネット上では、《戦艦大和は海底に沈んでる=プルトンだってことか…》《プルトンのモデル、やっぱり戦艦大和?》《プルトン・ワノ国・ヤマト・海底。え、もしかして戦艦大和ですか》などと推測する声が後を絶たない。

さらに「ワノ国編」には、ほかにも作者・尾田栄一郎の“思想”を感じさせる部分がいくつもある。

ワノ国と日本の深いつながり

そもそもワノ国での戦いは、かねてより「第二次世界大戦」を題材にしたという説が上がっていた。たとえば第1038話『キッド&ローvs.ビッグ・マム』にて描かれた鬼ヶ島の武器庫には、「放射能」を示すハザードシンボルらしきものが描かれており、“放射能兵器”の存在が仄めかされることに。

そのほか鬼ヶ島が「巨大な爆弾」と化して都に落下しそうになるという展開も、まるで「第二次世界大戦」の悲劇を示唆しているようだ。

それだけでなく、「ワノ国編」には日本という国の現状までもが反映されている。というのも九里の「おこぼれ町」に対して、現在の日本国民を風刺したものだという説があるのだ。

虐げられる人々の姿に対して、《放射能汚染された食品や、海外よりも規制が緩すぎる農薬や塩素水を摂取され続ける姿がそのまま重なります》と指摘する声が上がっている。

日本の歴史や現状をなぞるかのように描かれたワノ国編。もしかすると他の古代兵器にも、壮大なバックボーンが用意されているのかもしれない。

文=大獄貴司
写真=まいじつエンタ