今年6月、大手プロゲーミングチーム『ZETA DIVISION』が、人気FPS『VALORANT』部門の女性チームを設立。しかしチームメンバーの1人にさまざまな疑惑が浮上し、ネット上で炎上事態に発展してしまった。最終的に、そのメンバーは契約解除に至ったという。
“ジェンダー”をめぐる論争
「ZETA DIVISION」が設立した『VALORANT GC』は、女性プレイヤーによる新規チーム。7月から8月にかけて開催される女性限定の公式大会『VALORANT GAME CHANGERS』への参戦を目指し、発足されたものだ。
最初に議論を呼んだのは、(元)チームメンバーのflappy氏が実際には男性ではないかという疑惑。ゴシップ系ツイッタラーが「ZETA DIVISION」の公式アカウントに質問を投げかけたことで、この話題は広く拡散された。
しかし8月3日に発表された声明によると、flappy氏はトランスジェンダー女性で、ホルモン剤の服用なども行っており、医師からの診断書も提出済みだった。この件は当然「VALORANT」大会運営にも話が通っていたらしく、正式に参加許諾を得ていたという。
むしろ「ZETA DIVISION」は、風評を流した人々に対して、カミングアウトの強要やアウティング行為に当たるとして批判的な言葉を記していた。そのためこの時点では、文句を付けている側が逆に叩かれていた印象だ。
VALORANT GC部門 – 2022 VALORANT Champions Tour Game Changers Japanの出場資格についてhttps://t.co/Q4SuLS1dRI pic.twitter.com/ocHUO5suDs
— ZETA DIVISION (@zetadivision) August 3, 2022
しかし、そこから事態はさらなる急展開を見せることに…。
規約違反行為の常習犯だった?
性別の件が落ち着いたかと思えば、今度はflappy氏がチーム加入以前に規約違反行為を行っていたという疑惑が浮上。特定の人種に対する差別表現を含んだ名前のプレイヤーとパーティーを組み、サブアカウントなどで意図的に実力差のあるプレイヤーとマッチングする、いわゆるスマーフ行為をしていたことが告発された。
FPSゲームの競技シーンにおいて、スマーフ行為はかなりの大罪。昨年9月にはプロゲーミングチーム『Crazy Raccoon』やVTuberの八雲べにがスマーフおよびブースティングをしていたとして、激しい批判を浴びていた。
そのため「ZETA DIVISION」も、この件については看過できなかったのだろう。8月5日には「flappyの過去の行動に関する調査結果のご報告」として、ゲームプレイの公平性を意図的に損なう行為や、モラルに反する行為があったことを報告した。結果としてflappy氏は契約解除処分となり、所属チームの「VALORANT GC」も大会を辞退している。
VALORANT GC部門 – flappyの過去の行動に関する調査結果のご報告https://t.co/fds5uAdlyo pic.twitter.com/snHbF9CXn2
— ZETA DIVISION (@zetadivision) August 5, 2022
「ZETA DIVISION」といえば、今年4月に行われた公式大会にて“世界3位”にも輝いた日本のトップチーム。その看板に傷がつかなければよいのだが…。
文=「まいじつエンタ」編集部
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Koldunova / PIXTA