“ワンピースのような政治”にツッコミ殺到!『参政党』反ワクチン路線との矛盾…

“ワンピースのような政治”にツッコミ殺到!『参政党』反ワクチン路線との矛盾…

『ONE PIECE』103巻(尾田栄一郎/集英社)

SNSや動画配信を駆使した戦略でのし上がり、大きな注目を集めている政治団体『参政党』。その副代表兼事務局長である神谷宗幣氏が、スローガンとして「ワンピースのような政治」を掲げていたことに、ツッコミの声が再燃している。

『ONE PIECE』への風評被害?

「参政党」は2020年に設立された新しい政党だが、今年行われた第26回参議院議員選挙にて1議席を獲得するほど躍進中。選挙期間中に副代表の神谷氏が熱弁する映像がネット上に広まり、瞬く間に認知度を上げた。

そんな神谷氏は以前、「ワンピースのような政治をしよう!」といったスローガンを掲げていたことで知られる。数年前には自身のブログにて、「アニメのワンピースのように、旗を掲げてブレずに立ち続けます。そうしていればいずれどんどん仲間は増えてくるでしょう」とスローガンの内容についても明かしていた。

しかし彼のスローガンは、多くの『ONE PIECE』ファンには受け入れられていない模様。その理由として大きいのは、「参政党」が世間からいわゆる“反ワクチン”の政党と見なされているためだろう。

「参政党」の公式見解では、「反ワクチン」という表現を認めておらず、新型コロナウイルスワクチンのリスクを科学的に評価し、現行の政策に異を唱えるというスタンス。ただ、同党の候補者が街頭演説でコロナ禍にまつわる陰謀論を語っていたことなども報じられており、疑惑は燻り続けている。

チョッパーにノーランド…「科学」を信じる心

現在SNS上の「ONE PIECE」ファンたちの間では、「ワンピースのような政治」のスローガンが掘り起こされ、大きな議論を呼んでいる。その多くが、《ワンピースのような政治をしよう! で、訴えるのが反ワク? チョッパーに土下座で謝れ》《空島編までは確実に読んでないワンピエアプ》《ノーランドにめちゃくちゃ怒られるやつじゃん》《なんなら空島あたりでノーランドに全力で反ワクチンを怒られているんだよなぁ》といったツッコミの声だ。

たしかに「ONE PIECE」には、「反ワクチン」を真っ向から否定するような展開が描かれていた。たとえば空島編における、「うそつきノーランド」をめぐる過去が描かれたエピソードは有名だろう。

ある島で“樹熱”という病気が蔓延していたが、島の人間はこれを治癒する特効薬を否定し、生贄をささげる儀式で対処していた。その様子を見かねた植物学者のモンブラン・ノーランドは、「偉大な進歩をお前達が踏みつけにしているんだ」と“反科学的な信仰”を批判したのだ。

また、最近完結した「ワノ国編」においてもワクチンをめぐる攻防が。「麦わらの一味」船医のチョッパーが敵のウイルス攻撃に対して、「抗体」を作って人々を救う姿が描かれていた。

このように「ONE PIECE」は反ワクチンと対極に位置する作品と言える。とはいえ、思想の内容はともかく、そもそも政治のために知名度のある「ONE PIECE」の名前を使うこと自体、ファンの反発を招く行為。有権者を侮るなかれ…という教訓を、今後の活動に生かしてほしい。

文=大獄貴司
写真=まいじつエンタ