『SPY×FAMILY』アーニャに死亡フラグ! 作者・遠藤達哉が本当に描きたいものは…

『SPY×FAMILY』アーニャに死亡フラグ! 作者・遠藤達哉が本当に描きたいものは…

『SPY×FAMILY』10巻(遠藤達哉/集英社)

コミカルかつハートフルな作風によって、多くの読者から愛されている漫画『SPY×FAMILY』。しかし10月31日に『少年ジャンプ+』で配信された最新話では、トラウマ級の展開が描き出され、作者・遠藤達哉の暴走が心配されている。

※『SPY×FAMILY』最新話に触れています

第70話では、社会科見学に向かっていた「イーデン校」の生徒たちが、バスジャックに巻き込まれることに。

そこでアーニャは超能力でバスジャック犯の心を読み、バスの行き先を特定。ベッキーやダミアンの協力もあって、バスの車外にいる通行人にSOSのメッセージを送ることに成功する。

ところがアーニャの行動は犯人に見咎められ、その首に“爆弾”を巻き付けられてしまう。そして犯人は、次に誰かが怪しい行動をした場合は、容赦なく爆破するという…。

同作のマスコットキャラであり、主にコメディ担当だったアーニャが、突如としてシリアス展開に巻きこまれる形に。一歩間違えれば即死という状況に、読者たちも《スパイファミリー史上一番ヤバい展開 めっちゃドキドキする》《アーニャちゃん無事でいて…》《首に爆弾とかトラウマすぎる。アーニャの人生壮絶すぎてかわいそう》と緊張感が高まっている。

ところがこの展開について、《元々こっち寄りの作風だったし我慢しきれなかったか》《信じていましたよ遠藤先生》と納得を示す読者も。どうやら、作者の遠藤が“本領発揮した”と捉えられているようだ。

ハードな描写こそ作者の真骨頂?

遠藤といえば、「SPY×FAMILY」以前はハードな作風だったことで有名。『ジャンプSQ.』に掲載されていた連載デビュー作『TISTA』や、短編集『四方遊戯』などで、その傾向は顕著に表れていた。

中でも、「TISTA」のストーリーは印象的だ。主人公のティスタ・ロウンは孤独な身の上が災いし、幼い頃から暗殺稼業を強制されることに。暗殺を重ねた己の罪に苛まれる彼女の、悲痛な心境が鮮烈に描き出されており、救いがほとんどなく重すぎるストーリーだった。それがかえって読者を遠ざけたのか、全9話で打ち切られている。

その後、ヒット作に恵まれた遠藤だが、『SPY×FAMILY 公式ファンブック EYES ONLY』のインタビューでは複雑な胸の内を吐露。「SPY×FAMILY」が生まれたのは「色々諦めた結果」らしく、本当に描きたいものが別にあるようなニュアンスを含ませていた。

今ではアニメ化によって「SPY×FAMILY」の人気が盤石になったため、心のブレーキが緩みつつあるのかもしれない。最近はアーニャだけでなく、ロイドのハードな過去編も描かれていたが、どこまで“心のTISTA”を解放していくのだろうか。

文=野木
写真=まいじつエンタ