人気VTuber契約解除は憲法違反!? 芦澤サキの「競業避止義務」をめぐって議論

人気VTuber契約解除は憲法違反!? 芦澤サキの「競業避止義務」をめぐって議論

人気VTuber契約解除は憲法違反!? 芦澤サキの「競業避止義務」をめぐって議論 (C)PIXTA

『RIOT MUSIC』所属の人気VTuberとして知られる芦澤サキが、突如として契約解除されることに。その理由の1つとして、VTuber業界でお馴染みの「競業避止義務」が挙げられていたのだが、ネット上ではさまざまな議論が行われている。

人気Vtuberが突然の契約解除

芦澤サキは2020年より活動を始めた音楽系VTuber。28万人に届きそうなチャンネル登録者数を誇っており、人気ボカロ曲『命に嫌われている。』のカバー動画は、約850万回再生を記録している。

しかしそんな芦澤サキの所属事務所「RIOT MUSIC」を運営する『SuperYellow株式会社』が、先日「芦澤サキ 契約解除のお知らせ」と題されたコメントを発表。これによると契約解除に至った理由は、芦澤サキの契約違反行為が原因だったのだという。

同社が公表した契約違反行為は、主に「当社に無断で別名義でのVTuber活動を実施」「その別名義でのVTuber活動内で芦澤サキの担当キャストであると類推される行為をしていた」「その別名義でのVTuber活動内で当社が制作したカラオケ音源を無断で使用していた」の3点。つまり芦澤サキの“中の人”は、社外の別Vtuberとしても活動していたということだ。

しかし話はここで終わりではなく、芦澤サキの中の人(以下A氏)は、契約書に定められていた「競業避止義務」について、契約終了後も効力を持っていることが「違法」だと主張。契約解除に至るまでに、弁護士を介した交渉が行われていたようだ。

契約終了後の競業避止義務は違憲?

運営会社側の“お知らせ”として説明された契約違反行為については、《音源を勝手に使うのは流石にあかんかった》《これは残念ながら当然》《音源無断使用と契約期間中に別名義で活動していたことは事実ですからね》といった声が。とくに会社側が作成したカラオケ音源を、別名義で無断使用していた件については、「擁護の余地なし」といった雰囲気だ。

ただ、契約終了後の“競業避止義務”について揉めていたことに関しては、「違憲なのでは?」との指摘も。

『にじさんじ』の設立メンバーで、現在は『株式会社yokaze』の代表取締役を務める岩永太貴氏も、「いわながちゃん」名義のツイッターでこの騒動に言及。企業サイドとして「競業避止義務」を求めることの必然性を認めた上で、憲法における「職業選択の自由」との兼ね合いを危惧していた。

ちなみに、そんな岩永氏が運営する『BlastProject』では、「他名義の活動も報告することで基本自由」という方針にしているのだという。

今回の騒動に関しては、ガワを変えれば表向きには別人として“転生”できてしまう、VTuberならではの問題も含まれているかもしれない。1人のキャストが1つのアバターと添い遂げることを強制するような契約は、そもそもVTuberという特殊な職業において本当に合理的なのだろうか。

文=大上賢一

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Khosro / PIXTA