ジャンプアニメブームの弊害?『チェンソーマン』第8話「しちゃう?」にお茶の間凍り付く

ジャンプアニメブームの弊害?『チェンソーマン』第8話「しちゃう?」にお茶の間凍り付く

『チェンソーマン』11巻(藤本タツキ/集英社)

『週刊少年ジャンプ』連載の原作でありながら、少年誌とは思えないオトナな作風を押し出してきたアニメ『チェンソーマン』(テレビ東京系)。11月30日に放送された第8話『銃声』では、その描写が行き過ぎたことでお茶の間を凍りつかせてしまった。

※アニメ『チェンソーマン』最新話に触れています

公安メンバーによる新人歓迎会がドタバタ騒ぎで終結した後、デンジは先輩デビルハンター・姫野に“お持ち帰り”されることに。泥酔状態のまま、ベッドで目を覚ますのだが、そこであられもない姿の姫野が迫ってくる。

姫野はかなり酩酊しているようで、未成年のデンジに身体ごとのしかかり、缶ビールを口移しで飲ませる。そして添い寝するように倒れ込み、デンジの耳に口を近づけると、「しちゃう?」と誘惑するのだった──。

姫野がデンジを襲うシーンは前話の終盤にも描かれていたのだが、今回は姫野視点からあらためてじっくりと描写。さらに“その先”の展開にも発展し、意味深どころか直球なセリフのやりとりが繰り広げられている。

生々しい衣擦れの音や、アルコールの香りを感じさせるような姫野の囁き声など、明らかに力が入った一連の場面。これまでアニメ「チェンソーマン」に指摘されてきた邦画的演出の真骨頂…と言えるかもしれない。

「ジャンプ」ブームの思わぬ弊害

たんに無駄なシーンというわけでもなく、エピソードの後半を効果的に演出するための工夫でもあり、作劇的にはかなり秀逸。しかし10代の視聴者やファミリー層には、思わぬ混乱を巻き起こしたようだ。

とりわけ家族と一緒に観ていた人々から、《チェンソーマン見てたら親起きて空気地獄なんだけど終わった》《親と見てるけどこのシーンはマジできつい、早く終わってくれ姫野先輩頼む》《なんでこんなシーン親と見てんだろ》《チェンソーマン二度とテレビで見ない。親が部屋に入ってきた瞬間気まずい》《どうしよう、親の前でチェンソーマン8話つけてしまった》と阿鼻叫喚の声が上がっている。

「チェンソーマン」以前から、世間では空前の「ジャンプ」アニメブームが起きている真っ最中。『鬼滅の刃』や『SPY×FAMILY』などをはじめとして、大体は老若男女で幅広く楽しめる作風となっており、家族でアニメを楽しむようになった家庭も多いようだ。

「チェンソーマン」を同じノリで見ていた家庭も多いのかもしれないが、それが悲劇を生む原因に。ブームを終わらせるきっかけにならなければいいのだが…。

文=野木
写真=まいじつエンタ