シリーズ初のオープンワールドという売り文句でリリースされた最新作『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』(ポケモンSV)だが、その評価は賛否が分かれている模様。はたして、このまま今の路線を突き進むべきなのだろうか。
『ポケモンSV』不便さが目立つ仕様に
「ポケモンSV」は、「パルデア地方」という広大なエリアを舞台としたシームレスなゲーム体験が持ち味。野生ポケモンも可視化された状態で出現するようになり、従来のランダムエンカウントとは一味違う仕様となった。
さらに、シリーズの定番だったストーリーの流れも刷新。新たに2パターンのシナリオが用意され、ポケモンジムに挑戦する順番も自由となっている。オープンワールドの名に違わぬ、柔軟で自由な冒険を楽しむことが可能だ。
歴代作品のなかでも大胆な変化が目立ったこともあり、発売から3日間で全世界累計販売本数は1,000万本を突破。これは、任天堂のゲームソフトにおける同期間の売上として過去最高の記録だという。
しかしその一方で、プレイヤーからは不満の声も少なくはない。
たとえば、ジム戦で繰り出されるポケモンのレベルが固定されている仕様が議論の的に。プレイヤーは好きな順番でジムに挑戦できる…と言いつつ、場合によっては序盤と終盤の難易度がチグハグになってしまうのだ。
今後もオープンワールドを継続すべきか
前作『Pokémon LEGENDS アルセウス』でオープンワールド風の設定が試験的に導入され、今作では本格的にそれを実装したことからも、今後の「ポケモン」シリーズがオープンワールド化を見据えていることは間違いないだろう。
ところが現状、今作のオープンワールドとしての評価は芳しくない。とくにエンカウントシステムへの不満が多く、《折角オープンワールドで駆け回りたいのに小さいポケモンとぶつかるの凄くストレス》《飛んで滑空して避けるゲームになってるんだよな》といった意見が相次いでいた。
今作では野生ポケモンたちが可視化されたことで、フィールドを観察する楽しみは増えている。しかし遭遇するたびに足を止められるため、オープンワールドの醍醐味である探索要素と矛盾しているのだ。
もし今の路線を継続するとすれば、エンカウントシステムは見直すべきだろう。
そもそも近年ヒットしたオープンワールド作品では、『原神』や『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のように、アクション性を全面に押し出したものが主流だ。
少なくとも、「アルセウス」で試験導入された“捕獲のシームレス化”は継続すべきだったと言わざるを得ない。
とはいえ、ニンテンドースイッチのスペックでは、アクション性の高いオープンワールドがまともに動かないとも予想されている。
任天堂のハードで展開することを考えると、やはり「ポケモン」のオープンワールド路線には無理があるのではないだろうか…。
文=「まいじつエンタ」編集部
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