実写邦画はオワコン! 2022年に“オタクの逆鱗に触れた”日本映画を振り返る

実写邦画はオワコン! 2022年に“オタクの逆鱗に触れた”日本映画を振り返る

実写邦画はオワコン! 2022年に“オタクの逆鱗に触れた”日本映画を振り返る (C)PIXTA

2022年の日本映画界では、『ONE PIECE FILM RED』や『すずめの戸締まり』などのアニメ映画が大ヒット。しかしその一方、実写作品はほとんど鳴かず飛ばずだった。さらにはたんなる失敗作で終わらず、特定のマニアたちを激怒させてしまった作品もあるようだ。

特撮的なセンスに欠けていた『怪獣のあとしまつ』

2022年に最も物議を醸した作品といえば『怪獣のあとしまつ』だろう。

監督に人気ドラマ『時効警察』シリーズの三木聡、主演に『Hey!Say!JUMP』の山田涼介を起用。テーマも「倒された怪獣の死体をどうやって片づけるか?」とユニークで、どれをとっても、ヒットしそうな要素が揃っていた。

しかし2月4日に公開されると、たちまちバッシングを浴びることに。主な観客層は特撮オタクだったのだが、あまりにも価値観が合わなかったのだ。

同作は人間ドラマを押し出した作りとなっているが、それは特撮オタクにとって一種の地雷。

その証拠に、庵野秀明が脚本・総監督を務める『シン・ゴジラ』は人間ドラマを排除したことで絶賛されていた。

キャラ改変で大荒れ『ホリック xxxHOLiC』

続いて、2022年4月29日に公開された『ホリック xxxHOLiC』も問題作。こちらは原作ファンの漫画オタクにバッシングを浴びた。

同作は、CLAMPによる大人気コミックを原作とした実写化作品。原作は耽美な雰囲気で満たされたダークファンタジーだったが、映画版ではそれを再現するべく、鬼才・蜷川実花監督ならではのファンタジックな演出が施されている。

そのためビジュアル面はわりと好評なのだが、ストーリー面では原作ファンのお眼鏡にかなわず…。

SNSなどでは、《原作の名シーンをぶつ切りで繋げた駄作》《原型留めないくらいの設定改変してまでホリック名乗る意味あるの?って感じの映画だった…》《ホリックの実写版映画なんてありませんでした》といった手厳しい意見が相次いでしまった。

さらに、作中キャラ・九軒ひまわりの重要な設定が原作から改変されていることも批判の的に。

見た目のイメージも合わなかったようで、もはや別人と感じる原作ファンもいたようだ。

ホラーマニアに笑われた『貞子DX』

最後は、ホラー映画好きのオタクたちが激怒を通り越して笑ってしまった迷作。2022年10月28日に公開された『貞子DX』だ。

大まかなあらすじは、名作ホラー『リング』の主人公である貞子が令和に復活するというもの。

SNSを通じて呪いを拡散する貞子に対抗するため、IQ200の天才大学院生・一条文華が奔走していく。

初代「リング」といえば、見る者にトラウマを与えたサスペンスホラーだったが、なぜか「貞子DX」は作風をガラッと変えてホラーコメディになっている。

これまでの「貞子」作品を愛するファンからは、《ハリウッドリメイク含めて全作観てるんだが、ワースト》《ストレートな感想ですが、歴代1つまらなかった…》と“歴代ワースト作品”の烙印が。さらに《貞子を元ネタにした二次創作》とすら言われていた。

同じツッコミどころのある映画としては、B級ホラーの巨匠・白石晃士が『貞子vs伽椰子』という傑作を撮っているので、ハードルが上がっていた側面もあるかもしれない。

こうして振り返ると、散々だったように見える2022年の邦画だが、小説を原作とした作品はなぜかヒットを連発。『ドライブ・マイ・カー』に『沈黙のパレード』、『アキラとあきら』などと、それなりに豊作だった。

日本の映画界に欠けている脚本力を補うには、すぐれた小説を下地に使うしかないということだろうか。

次は読書マニアたちの怒りを買わなければいいのだが…。

文=ゴタシノブ

【画像】

Koldunova / PIXTA