少年漫画の王道を往く漫画『ONE PIECE』。実はその主人公・ルフィは「ヒーローではない」というのが、作者・尾田栄一郎の信条だった。
実際にルフィの言動を振り返ると、現代のコンプラにそぐわない“暴言”の数々が確認できる。とくに読者たちに問題視されているセリフを振り返ってみよう。
<その1>仲間に対して「動物以下」!?
ゾロといえば、「麦わらの一味」最初のメンバーであり、ルフィの右腕にあたる存在。しかしルフィから容赦ない暴言を浴びてしまったことがある。
第230話『サウスバードを追え!!』で空島へ行くために、一行はどんな環境でも必ず南を向くサウスバードを探していた。
サウスバードは正確な体内磁石を持つという話を聞いたルフィは、ゾロに向かって「お前は動物以下だな」と言ってのけたのだ。
ゾロは極度の方向音痴で、ことあるごとに迷子になることでお馴染み。この話にかぎらず、第443話では霧の海を彷徨ったブルックに「ゾロみてェな奴だな」と言うなど、ルフィは度々ゾロの弱点をイジっている。
もちろん仲がいいからこその軽口だが、「動物以下」はインパクトが強すぎたのか、読者からも《ルフィさんの煽りが強すぎる》《お前は動物以下だなって笑い飛ばすルフィ辛らつすぎません?》とツッコミを受けていた。
<その2>シンプルにひどい…「すげーイヤ」
もう1人の被害者として印象的なのは、ウォーターセブン編に登場した女性・ココロだ。
彼女はシフトステーションの駅長を務める恰幅のいいお婆さんだが、その後シラウオの人魚だったことが判明。
人魚という存在に幻想を抱いていたのか、サンジやゾロは「ココロが人魚だった」という記憶を消そうとしている。
そして第491話『トビウオライダーズ』では、ルフィからも「ココロのばーさんが人魚って すげーイヤだな」という発言が。露骨に顔をしかめる失礼な振る舞いに、思わずナミが拳を振るったほどだ。
サンジはともかく、女性に興味がなさそうなルフィにしては、ちょっと意外な行動かもしれない。
本人がいない場での発言ではあったものの、仲間の命を救ってくれた恩人に対して言うべきセリフではなかっただろう。
<その3>他人のコンプレックスを爆笑!?
少年漫画の主人公たるもの、他人の身体的特徴やコンプレックスを馬鹿にしてはならない──。
そんな風に考える人もいるかもしれないが、残念ながらルフィは禁じ手を破っている。
被害に遭ったのは、ドレスローザ編にて登場した「ドフラミンゴ海賊団」の幹部・ピーカだ。
彼は身長470cmの巨体をもつ屈強な戦士なのだが、その見た目に見合わない甲高い声をもつ。本人にとってもコンプレックスらしく、取り巻きたちは笑わないよう配慮していた。
ところが第747話『最高幹部ピーカ』でピーカの声を聞いたルフィは、本人を目の前にして堂々と「声!!! 高ェ~っ!!!」と大爆笑。その後も、「似合わねえ」「変な声」などと散々こき下ろしていた。
敵とはいえ、人のコンプレックスを馬鹿にする態度に、《ルフィって人の身体的特徴笑うんだ…》《ルフィがピーカの声で爆笑するのはやっぱりモヤる》と困惑したファンも少なくない。
思ったことをすぐに口に出すのが、ルフィの性分ではある。過激な発言を取り締まる風潮がますます強くなる昨今、“口が災いのもと”にならなければいいが…。
文=野木
写真=まいじつエンタ